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INTERVIEW

Japanese

hotspring

2016年03月号掲載

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Member:イノクチタカヒロ(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

-あ。Track.2「Touch Me I'm Sick」とか「車輪の中」とか?

ああ、そうですね。

-実体験なんですか?って聞いたらまずいのかな(笑)。

いや、大丈夫です(笑)。「Touch Me I'm Sick」は中学のころで、「車輪の中」は小学生のころの話。小4ぐらいのときにハムスターを飼ってたんですよ。チャッピーって名前だったんですけど、ある程度大きくなったとき、1匹じゃ可哀想だからって、もう1匹買ってきて同じケージの中に入れたんです。ハムスターの飼い方としては間違っているんですけどね、本当は最初から一緒じゃないとダメなんですよ。一緒のケージに入れちゃったもんだから、その小さなハムスターがチャッピーに食い殺されちゃったんですよ。それでもう、チャッピーが可愛くなくなっちゃって、死んだときもイマイチ悲しめなかったことが悲しかったなって。「車輪の中」はそのチャッピーが車輪の中で走っている姿をイメージして作ったんですよ。

-ああ......。イノクチさんの子供のころの思い出だと思いながら、聴いた人それぞれに車輪の中でぐるぐる走っているハムスターに自分の姿を投影できますよね?

そうかもしれないですね。自分もそんな純粋だったころを思い出しました。あとは"禁じられた遊び"とか"小さな悪の華"とか、子供の残酷さを描いた映画――押見修造の"惡の華"っていう漫画は映画の"小さな悪の華"が元ネタになってるんじゃないかと思うんですけど、そういうところからもちょっと影響されていると思います。でも、基本的には実体験です。

-"純粋"って言葉が出ましたけど、Track.5「スピード」も純粋な気持ちを歌っていますよね? 今っていろんな人がいろいろなことを好き勝手に言っている、何が正しいのか正しくないのかわからない世の中じゃないですか。そんな時代で信じられるのは、お前に近づきたいっていう純粋な想いだけだっていう歌詞の内容がいいですよね。

ありがとうございます(笑)。それはツアーを回っているときに思ったことですね。

-ああ、ツアーを回っているときのね。ところで、「車輪の中」なんですけど、こういう曲って前からやってました? "こういう曲"っていうのは曲調の話なんですけど。

なかったんですよ。こういうマイナー調の曲はあまりやりたくなかったんです。ただ、カッコつけただけみたいになるのが嫌だったんですよね。だから、そういう曲ができても歌詞が浮かばなかった。たぶん、先輩たちの影響っていうか、見たこともないことを歌わなきゃいけないのかなって思い込みがあったんでしょうね(笑)。でも、自分自身が見たこともないことを歌うのも嫌だなって気持ちもあったんですけどね。それができるようになったから、この曲ができたんだと思います。ライヴでやってみたらお客さんの反応が良かったんですよ。こういう曲、大丈夫かなってちょっと心配だったんですけど、やっぱこういうの好きなんですね。マイナー調の曲はもうちょっと作りたいですね。

-「スピード」もTHE WHOの「無法の世界(原題:Won't Get Fooled Again)」(1971年リリースの5thアルバム『Who's Next』収録)を連想させるロック・ナンバーですが、リード・ギターのフレーズも泣いているし、歌もメロウで、新しい感じがありますね?

それはPALMA VIOLETSの「Best Of Friends」(2012年リリースの1stアルバム『180』収録曲)の曲調に似せて作りました(笑)。

-ネタばらしちゃっていいんですか?

ははは。PALMA VIOLETSって演奏がすごいらしいですね。Johnny Thundersばりにグダグダだって。去年、"SUMMER SONIC"で観たっていう友達が"演奏がグダグダすぎて最高だった"って(笑)。そんな人たち今あまりいないからすごいですよね(笑)。

-「灰になっても」には"イージー・ライダー"が出てきますね?

今度はアメリカン・ニュー・シネマかって感じですけどね(笑)。

-いやいや、そんなことはないですけど。ニュー・シネマが好きなのか、映画全般が好きなのかどっちなんだろうと思いながら聴いていたんですけど、さっきの話ぶりから察するに映画全般がお好きなんですね?

このところ、いつもいろいろと観てますね。最近はニュー・シネマはあまり観てなくて、新作の映画を観てます。バカっぽいのが好きなんですよ。クエンティン・タランティーノはやっぱすごいですね。今度、"ヘイトフル・エイト"が上映されるじゃないですか。楽しみですね。あとは、"キングスマン"が良かったです。"キック・アス"を撮ったマシュー・ボーン監督のスパイ映画なんですけど、面白かったです。だからって曲を作るときに映画の影響は受けないですけどね。でも、バカな映画のバカなテンションは反映されてるかもしれない(笑)。