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INTERVIEW

Japanese

四星球

2015年08月号掲載

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Member:北島 康雄(シンガー) U太(Ba) まさやん(Gt) モリス(Dr)

Interviewer:天野 史彬

-今回のシングルのTrack.3「青空教室」は初期の曲なんですよね? この曲にも、四星球の根底にあるものを紐解くヒントがあるような気がするんですけど、まず、この曲を今回、再録したのはどうしてだったんですか?

北島:一応、"夏"をテーマにしたシングルなので、昔の曲で夏っぽい曲ないかなぁと思って。で、正式音源には入ってない曲だったので、これいいなと思って。あと、エンジニアさんが僕らを結成のころから知ってくれている人なんですけど、この曲をすごく気に入ってくれてて、"あの曲録ろうよ"って言ってくれたので。

-この「青空教室」はかつての恋人を想う切ないラヴ・ソングで、四星球のシリアスな部分が出ている曲だと思うんですけど、最初にこの曲を作ったときには、どんな想いがあったんですか?

北島:これはね......うちらが結成したのって青春パンク全盛の時代なんですけど(※四星球の結成は2002年)、あのころって、みんなが何もかもを曝け出す感じだったんですよ。"こんなことがありました"っていうのをリアルに書き綴る、みたいな。でも僕は、そういうのじゃないことをしたいなって思ったんですよね。僕はたぶん、そこに対するアンチテーゼはずっとあったと思います。例えばサビの描写にしても("中指 首筋 ふくらはぎ 36度を感じ合い 秘密分け合った"というライン)、こういうところから情景が浮かぶ、みたいなのが書きたかったんですよね。そのとき流行ってるものに対して、すごく好きなんですけど、そうじゃない角度で作ったらどうなるのかっていう。始めの2~3年はそういう感じが多いんですよね。青春パンク全盛、ギター・ロック全盛の時代に対してド下ネタでいったりとか。"自分ならこうするけど"っていうのを提示したいっていう想いがひとつあったと思いますね。もちろん、"まだ高校時代の彼女が好きで......"っていう気持ちもありつつですけど。

-じゃあ、さっき話に出た"笑いでコーティング"っていうのは、2000年代初頭の青春パンクやギター・ロックにあった"曝け出すことが美徳"という感覚に対してのアンチでもあったんですかね?

北島:あぁ~、たしかにそうかもしれないです。昔よく言ってたのは、"全部わかられてたまるか!"っていう。その気持ちはありましたね。"どうせ、わかってくれんやろう"っていう気持ちもあるし。

-なんで自分たちは、"わかってくれ!"じゃなくて、"わかられてたまるか!"の方向に行ったんだと思います?

北島:意味わからんバンドだったんですよ。"意味がわからないバンドだった"っていうのが大きい理由かもしれない(笑)。でも当時の四国のシーンは、すっごくわかりやすいシーンだったので、それに対する反発もあったかもしれないです。でも、海を越えて神戸に行ったら、自分らみたいなバンドがわんさかおって。それで、そっちに居場所見つけたっていう感じもあったし。

-「青空教室」で歌われている、過去に出会った人に想いを馳せる感覚っていうのは、自分たちが音楽をやったり、歌を歌うことに対する根本にあるものだと思いますか?

北島:あぁ......昔の彼女がどうこう以上に、今まで会ってきて、でももう会わなくなった人たちに、音楽を続けることで"元気にしていますよ"って伝えたい気持ちはずっとありますね。友達なり、先生なり、応援してくれていた人なり、関わりを持った人たちに"僕らはやっていますよ"っていうことは伝えたいんですよね。ちょっとラジオに出たり、ポスターに載ってたりするのを、"あれ、こいつは......"って思ってもらいたいというか。それは、バンドとして発信していくテーマの横っちょの方にありますね。

-それは、バンドを始めたころからずっとある感覚ですか?

北島:早い段階からありましたね。やっぱ、みんな就職してちゃんとしてるから(笑)、そういう人らに少しでも認めてもらいたいっていうのはありますね。

U太:お便りみたいなものかもね。まぁ、今でこそ言えることですけどね(笑)。ある程度ですけど、テレビに出させてもらったり、ああやってMONSTER baSHでトリやらせてもらったり、親に"どや!"って見せられる舞台に立ってるから言えるんですけど。昔だったら言えなかったですもんね(笑)。パンツ一丁で走り回って......。

一同:(爆笑)

北島:普通に親に言えるようになったのは、結構最近ですよ(笑)。

-"わかられてたまるか!"っていうアンチ精神と、音楽を便りとして存在を伝え続けていきたい気持ちと......ふたつの想いがあるんですね。

U太:そうやね。相反する位置にあるものかもしれないけど、闘いに行く者の気持ちと、身内や家に対する気持ちとね。

-パンク精神、アンチテーゼを根本に持っている分、歩んできた中で出会ったものは、しっかりと背負っている感じがしますよね。

北島:僕らを応援してくれる人たちって、みんなええ人ですもんね。僕らを好きになるのって、得か損かで言ったら、損じゃないですか(笑)。見返りがあるかって言ったら、ないし。

U太:ほんまに好きな人も、まず周りに言えないですよ(笑)。"私の好きなバンド、見て見て~"って見せれへんし。それでも好きでおってくれるわけでしょ。"ほんまに面白いのはここだ!"って思ってくれたのかもしれないし。それ自体がまず"ありがとう"だし。義理堅い感じはしますよ。

-このシングルも、MONSTER baSHへの恩を音にして、背負っていくことの証明ですもんね。このシングルを作って、見えてきたものってありますか?

北島:アイテムとして、シングルの軽さではないなっていう感じがあるんですよね。シングルって、普通はアルバムを見据えてのものだったり、場繋ぎ的なものだと思うんですけど、このシングルはメモリアルな意味のあるリリースなので。で、この「MOONSTAR daSH」をもう札幌や鹿児島で歌ったりもしてるんですけど、この曲は旬のものだとか四国のものだっていうことだけじゃなくて、"ライヴの歌"になってるなって感じたので、これからも歌っていける曲だなって思ってますね。

U太:"去年のモンバスについて歌った"っていうストーリー自体も捨てなあかんのやろうね。それは忘れてもらって、ひとつの曲として提示していかんと"お前ら、いつまで言うとんねん!"って言われるからね(笑)。このネタは、今年のMONSTER baSHで終わりでいいと思う。曲だけ残ってくれたらね。このシングルに関しては、ツアーで全国回ったりもしないんですよ。

北島:今年はMONSTER baSHに2日間出させてもらうんですけど、1日目がツアー初日で、2日目がツアー・ファイナルなんです(笑)。

-ははははは! でもなおさら、この「MOONSTAR daSH」が5年後10年後にどう響いているのかも楽しみですね。

北島:そうですね。まだやっぱり、MONSTER baSHではやってないので。まずは、あの現場でやったらどうなるのか、楽しみですね。