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INTERVIEW

Japanese

クウチュウ戦

2015年05月号掲載

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Member:リヨ (Vo/Gt)

Interviewer:天野 史彬

-なんで好きになれる音楽は少ないんだと思います?

なんでですかね?......やっぱりビジネスだからじゃないですかね。売ろうとするから。もちろん僕らも売ろうとはしてるけど、でもそれだけになっちゃダメっていうか。曲作ったりするのって、センスじゃないですか。俺はたぶんセンスがあるんですよ。でも、母親からのダメ出しの話もしましたけど、ただセンスがあるだけじゃダメで、人に寄り添う、食べやすく作るっていう部分も必要だと思うんです。センスの部分と食べやすくする部分が50%ずつないとダメだと思うんです。なんだけど、今は、人に食べやすく出す部分が100%の、深いところで鳴っている気がしない音楽が多すぎる。やだなぁ、批判的なこと言うの(笑)。でも、浅いんですよ。全然入ってこないんですよ。それはたぶん、作る人も感動してないっていうことだと思うんです。感動して曲を作ってない。俺なんか、曲作りながら泣いたりしますもん。そういうのが空っぽで、ゼロの人が、人に好かれるためだけに頑張ってる。だから感動しないのかなぁ。俺、目が肥えているから、見抜いちゃうんですよ。

-この「MUSIC TRAVRLER」の中には"主役"という言葉が出てきますよね。この歌詞を読むと、映画や小説と違って、受け手自身が主役になれるところが音楽の効能のひとつだって言いたいのかなって思ったんですね。

あぁ、そういう解釈をしていただいたんですね。それでもいいんですけど、でも、実際は全然考えてないんですよ。これは、一皮むけた瞬間の曲のような気がする。"♪旅の主役はあなた~"みたいなことを歌うような奴じゃなかったんですよ、俺は。最初にこの歌詞を書いたとき、俺は食べやすく出すとか、聴く人に寄り添おうとすることがすごく恥ずかしかったと思う。あと、"映画館に行きたいよ"とか"小説も面白い"とかのくだりに関していうと、これは"音楽だけじゃ飽きちゃうよ"みたいな個人的な思いですね。俺、音楽から音楽は作れないんですよ。映画、小説に限らず、他の何かがないと曲は作れないんですよね。いるじゃないですか、めっちゃ音楽オタクで、インプットは音楽だけ、みたいな。そういうのがまったくできなくて、そういう人を小馬鹿にしてますね(笑)。頭でっかちの音楽馬鹿を小馬鹿にした歌詞ですね、これは。

-ははは(笑)。じゃあ、リヨさんの好きな映画や小説を具体的に挙げるとするなら?

やっぱり、SFものが好きですね。SFはめっちゃ大きいです。サイエンス・フィクションは最高だと思います。日常の地続きにないものがある......SFって、映画とか小説の醍醐味じゃないですか? 日常を深く掘ったりする表現って、面白いとは思うけど、そもそも小説も映画も作り物の世界、フィクションなんですよ。せっかくフィクションなんだったら、誰もが想像できないとんでもないものを見たいし、感じたい。大きいものを見たいっていうことだと思いますね。

-そのリヨさんの中にあるSF感って、自分が作る音楽にどういう形で繋がっていると思いますか?

基本的に、(自分の音楽は)"理想郷の提示"だと思います。好きな音楽はいっぱいあるけど、"でも、もっとこういう曲があったらいいのにな"とか、想像するじゃないですか。だからもう、文字通り"理想郷の提示"です。"こんな音楽があったらいいのに"って僕が思うものの提示です。僕の音楽は基本的に全部。もちろんそれだけじゃなくて、さっきも言ったように聴く人に寄り添ったりもするけど、でも基本的には、理想郷の提示。

-その理想郷って、あくまで"人によって作られた理想郷"であるという点がポイントになると思いますか? 今作の最後を飾る「作られた歌」で歌われているのは、まさに音楽が人に与える力についてだと思ったんですね。この曲で重要なのは、"美しい歌を 作ろうとして/作られた 美しいメロディー"っていうラインですよね。人によって作られたものが他の人に作用していくっていうのが、リヨさんにとって大事なのかなって思って。

あぁ~......そうなのかもしれない......でも、この曲は、意味とかは考えてないんですよね。たぶん間奏の部分の"人に作られた社会 社会に作られた僕 僕に作られたこの歌"っていう部分があるから、言っていただいたようにイメージされたのかなって思うんですけど、もともとこの部分はなかったんですよ。本当に意味のない、含まれたメッセージのない曲だったんです。ただ出しただけっていうか、超右脳で作った感じなんですよね。このサビのメロディーが滅茶苦茶気に入ってて。超絶的な美メロだと思うんですけど、それを汚したくないって思ったんですね。そのまんま出したいって思った。そもそも、"濃いメッセージを出したい!"っていうタイプではないんですよ。漠然ともや~っとはあるけど、文章にできるようなメッセージを書いた曲は、1曲もないような気がする。

-なるほど。だから歌詞にも"メロディー"っていう言葉が出てくるんだ。でも、リヨさんの中で、人の作り出したもの、創作物、文化が人に影響を与えるっていうことに希望を見出している部分はありませんか?

誰かによって作られた作品が人に影響を及ぼすことか......うん、それはあると思います。もっと混ざり合えばいいと思う。いろんな人の理想郷に影響を受けたいし、いろんな人にも影響を受けてほしい。オープンにしたいというか。東京に生きていたらクローズしがちだけど、誰かによって表現されたものが人を開かせることってあると思うんですよね。飛び込んでくるときっていうか。それはいいなって思います。