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INTERVIEW

Japanese

LiSA

2014年09月号掲載

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-それが少しずつ変わってきたのは?

......ひとりじゃ伝えられなかったことが、お客さんが増えていくことや規模が大きくなっていくことによって、説得力をつけられるようになったんです。例えばお母さんに彼氏を紹介するとき、事前に彼のいいところをたくさん伝えておいたりするじゃないですか(笑)? そういう感じで、自分に強みを持てた、自分の武器というのが"日本武道館に行ける"ということだったんです。あと、今は何をやるにもちゃんとそばに、私と一緒に楽しもうとしてくれる人たちがたくさんいる。この人たち(ファンやスタッフ、バック・バンド)が一緒なら、自分がどんな状態や気持ちだったとしても変わらないライヴができるし、その人たちがついているから、私が踏み入れたくない怖いところも自信を持って届けられる。とてもありがたいなと思います。

-LiSAさんはライヴ活動......LiSAさん風に言うとライヴではなく"デート"ですね。

(笑)はい。

-そちらも盛んですよね。今年の1月の日本武道館公演に続き、シングル『Rising Hope』リリース後に全国6ヶ所のワンマン・ツアーを回り、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて野外ライヴを開催なさって。今日(8月8日)私が拝見したお台場での"めざましライブ"は、武道館のときとは違う、とても純粋で楽しそうなLiSAさんが印象的でした。デート観も変わってきていますか?

そうですね。武道館のときまでは、私はスーパーマンでいないといけない、みんなを引っ張っていかなくちゃいけない、みんなを楽しませるホストだと思っていたんです。でも武道館は体調が悪くて、納得いくライヴができなくて。正直すごく悔しかったんです。ライヴ中は"私の弱さが見えた瞬間にみんながいなくなっちゃうんじゃないか"と思ってたんですけど......でもみんながあの場で"がんばれ!"って支えてくれて、最後まで付き合ってくれて、その日最後まで一緒に戦ってくれて。そのときに"この人たちは私の完璧なところを好きでいてくれてるわけじゃないんだな"と思ったんですよね。それで、その場で作れるものや起きる奇跡、もう少し自分の弱いところを認めてもいいのかな......と思えるようになったのが武道館でした。だからそれ以降のライヴは、少し肩の荷が下りたというか。もう少しフランクな感じでライヴができるようになりました。

-あの武道館のライヴ、私はDVDで拝見したんですけど、序盤は"かっこいいLiSA"というものを崩さないようにしてらっしゃるなと思いました。でも後半になるにしたがって、どんどんLiSAさんから等身大の表情や言葉が出てきて。約2時間の間で、人が変わっていくのを見たような気がしました。

まさにその通りでございまして......。私は映画や、立ち位置やダンスがしっかり決まっているような完璧なショーもすごく好きで。そういうものも取り入れられたらいいなと思ってライヴをやっていたんですけど、あの武道館の1日でわたしがライヴで思ってきた"完璧なものを見せなくちゃ"ということが崩れて。でもそうじゃなくてもいいんだなと思ったし、その方が楽しいなと思いました。思い返してみればわたしがいちばん惹かれたGREEN DAYの魅力は、楽しそうに演奏しているときに自然に出てきたあの笑顔だな、みたいな......武道館はそういうことを思い出したライヴでした。ショー的な部分もありつつ、自然体でいたいですね。バンドをやっているころは"女だから"というだけで省かれていたりもして"かわいいなんて言われたくない"と思っていたんですけど、今は女の人だからこそ出せるかっこよさもあるなと思うようになって。そういう自分の認めたくなかった部分、わざと排除していた部分をふんだんに使ってやろうと(笑)。

-(笑)今日のデートの「ROCK-mode」でのくびれのチラ見せ、女のわたしもどきどきしましたもん。

はははは! ああいうめくるパフォーマンス、男の人にはできないでしょう(笑)? 野外でのライヴはすべて見えてしまうからどういう風に見せていこうか、という話は2年前に日比谷野外大音楽堂でワンマンをやったときにもチームみんなで話し合いました。そうやってひとつずつ重ねてきたからこそ、今これだけ自然なライヴができているんだなと思いますね。

-LiSAさんはご自分で作詞作曲をなさるだけでなく、いろんなアレンジャーさんやコンポーザーさん、スタジオ・ミュージシャンの方々、ライヴのバック・バンドを務める皆さんと、たくさんの人とアーティスト活動をなさいますよね。それはバンドでは成し得ない強みでもあると思います。

そうですね。ライヴで演奏したときに、みんながLiSAの音楽として受け入れてくれて。それはデビュー・アルバムの『Letters to U』で"たくさんの人がLiSAの音楽を作っている"というのをいちばん最初に作れたのも大きいですね。コンポーザーさんはそれぞれが好きな音楽をやられていて、様々な場所で活躍されていて。私はそのアルバムをオムニバスのようにしてはいけないと思ったんです。その人たちの音楽に近寄りたかったし、その中でどうやって自分を出せるのかを考えて。

-『Letters to U』はUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さん、当時VOCALOID界で活躍していたwowakaさんやハチ(米津玄師)さん、同人音楽界で活躍されている岸田さんやあにーさんなど、それぞれのコンポーザーの個性が克明に出た楽曲ばかりなのに、それを全部しっかりLiSAさんが歌いこなしているのが衝撃的でした。それはLiSAさんが歌詞を書いているのもあるけれど、しっかり楽曲に向かい合って、音に飛び込んだからなのかなと。

ありがとうございます。でもそのときの私はメロコアが好きだったんで、コンポーザーの皆さんとはまったく違う次元にいたんです(笑)。