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INTERVIEW

Overseas

SLEEPER AGENT

2014年04月号掲載

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Member:Tony Smith (Gt/Vo)

Interviewer:山口 智男

-イメージ的にも音楽的にも彼女を前面に出すのは、前作から今作にかけてのバンドの成長を、1人の女性の少女から大人への成長に投影するようなコンセプトもあるのでしょうか。

いや、そういう訳じゃないんだけど......俺たちの歌詞はパーソナルだから、今回はその感情を感じ取ってもらいたい気持ちが強いんだ。あの目が訴えている感情をね。俺たちの感情がどこから来ているのか、ああいう風にした方が分かりやすい気がして。

-確かに目力がありますよね。何かを訴えてくるような。

うん。ちょっとはかなげなところとか、あと、不安げなところも少し見え隠れしているような気がする。目が真っ直ぐ射抜いているからね。

-前作よりも全体の印象として、勢いというか、がむしゃらさがやや抑え気味にも感じられるし、「Haunting Me」「Lorena」「Shut」といったメロウな曲もやっている。それはバンドの成熟と理解してもいい?

その通りだね。俺自身リスナーとして、バラードを書くのが好きなんだ。メンバーもみんなバラードが得意だから、そういう面を見せたかったというのがある。ガンガン突き進む無愛想さ以外の面もあるんだよってね。パレット上の色をすべて見せたかったんだ。

-『About Last Night』というタイトルが物語るものは?

実は、前作『Celabrasion』の続きなんだ。あれはcelebration(祝福)をabrasion(磨耗、擦り傷)と組み合わせた造語なんだけど、パーティのほろ苦さを表現したかった。あれを書いた頃、俺は大学を卒業しようとしていて、人生のターニング・ポイントに来たところだったから、卒業前にひとつ大きな意思表示をしたかったんだ。『About Last Night』はその翌朝みたいな感じかな。前のアルバムや、このバンドでの4年間を振り返るような感じ。だから続編みたいな意味合いがあるね。コンセプト的にも続編と言える。直接続編になっている曲はないけど、ティーンや20代初めの若い頃から20代半ばや後半にシフトしていく中での感情の変化を書いているんだ。

-前作発表後、バンドが遂げた成長は新作に、どんなふうに反映されていると? 

結成当時は全員目を大きく見開きっぱなしで、世間知らずだったような気がする。とにかくいろんな経験ができることに興奮していたね。大きなショウにも出られたしね。自分たちがどんな状態なのか気にもしなかった。ロック・ショウでプレイできて、ビールが飲めて、楽しめればそれで良かったんだ。だけど段々そういう生活に慣れてきたら、周りの世界が少しずつ見えるようになってきた。今回は真面目に取り組んで、メッセージを伝えたいという気持ちを強く出すようにしたんだ。自分たちが何者であるかなんかをね。人生って結構大変なものだけど、それに疲れきってしまったり、さまざまな問題を脇に追いやったりしてしまうのではなく、自分たちの経験からリアリティをもっと感じられるような作品を作ったんだ。

-たとえば、成長が最も表れた曲を挙げるとすると?

個人的なお気に入りは「Shut」かな。あれは俺たち的にかなりの変化球だと思うんだ。アルバムの中では1番意外性のある曲じゃないかな。メロウなだけじゃなくてミニマルだからね。とてもライトなドラムとピアノくらいしか聴こえてこないし。少し抑え目にして、花開く寸前のところを表現している感じかな。

-「Sweetheart」からはラテン音楽の影響も窺えますね?

そうそう。あれは偶然できたんだ(笑)。あれはAlexと俺が何年も前にお遊びの実験として書いた曲で、最初はとてもフォーキーだったんだ。でも今回試してみたら、ラテンの風合いをつけた奴がいてね。それを払拭してしまわずに受け入れることにしたんだ。いつもと全く違うことをやるのは楽しかったよ。元はBob Dylan風というか、カントリー風というか、そういう感じだったけど、全員が参加したところで曲が勝手にモンスターになっていったんだ(笑)。