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INTERVIEW

Overseas

Benjamin Gibbard

2012年11月号掲載

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言わずと知れたDEATH CAB FOR CUTIE、そしてPOSTAL SERVICEのフロントマンのBenjamin Gibbardがソロ・アルバムをリリースする。今作『FORMER LIVES』は、Benがここ8年の間に書いた楽曲からなるアルバムで、長年の友人でもあるEARLIMARTのAaron Espinozaによってレコーディングされた自身初のソロ・アルバムとなる。今回は彼の公式インタビューを掲載。何故今作を制作するに至り、どういった環境で制作されたのか――非常に充実した環境で制作されたことが伺えるインタビューとなっている。

-ソロ・アルバムのリリースおめでとうございます。今作の制作の経緯を教えて頂けますか?

ソロ・アルバムのリリースを計画していたわけではないんだ。気付くとレコード1枚出せるくらいの曲が溜まっていたから“レコーディングしよう”って決めて、そこからアルバム1枚作れれば、と思ったんだよ。DEATH CAB FOR CUTIEのメンバーもみんなソロ活動を応援してくれているんだ。バンドの中に、こうした活動を気に入らないメンバーがいると、たいていはしばらく避けられたりするもんだけど、今のところそういうことはないよ(笑)。みんなこのレコードの話をしているから、きっと楽しんでくれてるんだと思う。だから、気に入ってくれてるんじゃないかな(笑)。

-ということは、今作に収録されている楽曲は、ソロ・アルバムのために敢えて書いた曲というわけではないんですね。

そうだね。この楽曲たちはその当時作っていたDEATH CAB FOR CUTIEのアルバムにはうまくはまらなかった曲なんだ。それは曲として良くなかったっていうわけじゃなく、DEATH CAB FOR CUTIEのアルバムには合わなかった曲という意味だよ。それを1枚のアルバムにまとめたんだ。だから、バンドのアルバムの未公開シーンみたいに考えているよ。でも、サウンド的に比較的統一感があると思う。やっぱりほとんどが同じスタジオでレコーディングされて、しかも同じプロデューサーだからかもしれないね。つまり、曲としてはいろんな時期に書かれていて、ある数ヶ月間に集中して書かれたわけじゃなくても、レコーディングが同時期だったから統一感があるんだ。それぞれの曲を、それぞれが書かれた時期にレコーディングしていたら、たぶんアルバムとしてはうまくいかなかったと思うよ。中にはかなり古い曲もあるしね。

-今作のサウンド・メイクはどんなことを意識しましたか? また、レコーディングはどういった環境で行われましたか?

サウンドに関しては、今回はとにかくそれぞれの曲をはっきりと、ストレートにとらえたかったんだ。最近、サウンドのプロダクションの技術がどんどん均一化されてきてるように思うんだよね。その時のプロダクションのトレンドに左右されがちになってきて、個性がなくなってきている。例えばインディー・ロックだと、常にリヴァーブがかかって、全部コンピュータで音がいじられていたりするんだ。僕はむしろそういうのから離れて、聴いてすぐにインディー・ロックっぽい印象を与えない音にしたかったんだ。今風のレコードを作りたかったら絶対にリヴァーブはかけなきゃいけない、みたいな感じがあったからね。全体にリヴァーブがかかっているような物はやりたくなかったんだ。レコーディングは、昔からの知り合いのEARLIMARTのAaronのスタジオで行ったよ。このスタジオは、レコーディングの設備は整っているんだけど、普通の生活スペース風で、プロフェッショナルなレコーディング・スタジオっていう雰囲気じゃないんだよね。ただ、ちゃんと機材も揃ってるし、いい音が録れるスペースなんだ。リラックスしてクリエイティヴになれると同時に、ちゃんとレコーディング・スタジオにいる気持ちになれる僕はそういう場所が好きなんだ。レコーディングはほんとに楽しかったよ。