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INTERVIEW

Japanese

クリープハイプ

2012年04月号掲載

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Member:尾崎 世界観(Vo&Gt)

Interviewer:沖 さやこ


-苛立ちとか悲しみの感情表現が刺さりますよね。そういうときに感情が湧き上がりますか?

そうですね、人に対して腹を立てたり、悲しいなと思ったり……。でも、最近、人を信じてるから……腹立ったりすると思うんですよ。裏切られたとか、人が嫌いとか、そういう歌ばっかり作ってると思うんですけど、それって人に興味があるってことだと思うんですよね。昔からそういう曲ばっかり作ってます。

-尾崎さんはバンドマンという意識と、歌い手という意識とどちらが強いのでしょうか。

やっぱりバンドマンですね。歌がずっと好きで、人前じゃなくてもずっと歌ってられれば幸せだって気持ちはまったくないし。歌うことって凄く疲れるし……つらいことだと思うんですよ。自分はとくに声をずっと張り上げてるんで(笑)。それでもそれをしたいっていうのは、自分の考えてること、書いた言葉、メンバーが演奏している音を伝えたいという気持ちがあるので。その手段が歌っていうことだと思います。

-ノン・フィクションじゃないし、フィクションでもない曖昧な感じが尾崎さんの歌詞の面白さだと思います。

実際にあった出来事から始まって“これがこのままこうなったらどうなるんだろう”“その出来事が暴走していったらどうなるんだろう?”っていう妄想から入って、先に突き抜けたりして書いたりしてるんで。ただ単純にあったことを書いた日記は面白くないし。かと言って完全に嘘で書けるほど想像力もないので入口は自分が見たこととか思ったことなんですけど。そういうことを考える瞬間は凄く楽しいですね。そのときのことは自分しか知らないし。

-こういう歌詞を書くということは、聴き手に何かを刻みたいからですよね。

そうですね。何にしても衝撃を与えたいという気持ちはあります。メロディをただ歌ってるだけだったら何でもいいんですけど、言葉を歌ってる以上はその言葉に意味を持たせて、聴いてる人にいろいろ考えてもらったりいろんな気持ちになってほしいし。別に自分と同じような気持ちになってくれなくてもいいんですけど。なにかしらでも、気持ちを動かしたいという感じですね。……あと、常に誰かに対してぶつかっていく立場でいたほうが面白いと思うので。偉くなっちゃうよりは“あいつに負けたくないな”と思ってそこに向かっていたいと思いますね。そういうときの気持ちが一番自分を動かすものなので。悔しさとか、憧れてたりとか。そういうものを超えようとする気持ちだったりとか。そういう気持ちを大事にしていきたいと思います。

-クリープハイプがメジャー・デビューって聞いたときは嬉しいと同時に“こんな歌詞を書いちゃう人がメジャー行ったら今まで通りにならないかも”って不安になったんですけど……全然平気でしたね(笑)。

そうですね(笑)。今までと変わらないし、今まで以上に尖ってると思うし。ずっと一貫して自分が読みたい歌詞や聴きたいメロディを作ってるので、そのとき自分が理想とするものに向き合っていけたらなと思ってますね。“あいつはメジャーに行って面白くなったな”とか“面白いことをメジャー・シーンでも言う奴がひとり増えた”って感覚になってもらえたらと思うし。“メジャーに行ったからって丸くなるわけじゃないんだぞ”ってことが伝わると思います。言いたいことは言わないと勿体無いですよね。だから、しっかり続けていきたいですね、ちゃんと。世の中の必要なものと必要じゃないものがはっきりしてきているので、バンドを続けていくということも前よりも難しくなってくるというか。ちゃんとその中で残れるように、バンドとしての存在価値というものを持ってたいですね。

-ツアー・ファイナルは赤坂BLITZということで。いきなり大きいところなのでびっくりしました。

そうですよね。でも前からワンマンは手の届かないところでやりたいっていうのがあるんですよ。去年の10月にやった渋谷CLUB QUATTROワンマンもそうだし。お客さんをドキドキさせないと面白くないなって思うんですよね。“こんなところでやって大丈夫なの?”って思わせて、そこで埋めたときに凄いと思ってくれるだろうし。絶対埋まるところでやっても面白くないんで、届くように努力したいですね。