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INTERVIEW

Japanese

ART-SCHOOL

2010年07月号掲載

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Member:木下理樹(Vo&Gt)

Interviewer:道明 利友


-制作陣にまつわる話だと、Tony Dooganをプロデューサーに招いた『PARADISE LOST』(2005 年10月リリース)も印象に残ってます。MOGWAIとかを手がけてきた人と生み出した作品らしく、音の広がりが素晴らしかったなって。

あのときはね、歌詞が全然出来上がってなくて、俺の中では作業を楽しめてなかった感じもあるんだけど……(笑)。TONYともやれたし、THE DELGADOSのメンバーだったりMOGWAIのBarry Burnsが参加してくれたり、すごく刺激的で、自分のミュージシャンとしての人生にとってはすごくプラスになってて。音がね、立体的なんですよ。そのあとに益子さんとやったのも三好さんとやった作品も、やっぱり音が立体的で自分にとってはすごくプラスになったんですよね。で、今回は、立体的にはもちろんしたいっていうのがありつつ、俺の頭の中で今鳴ってる音を再現したかったから岩田さんとやりたかったっていうのもありますね。俺のわがままなリクエストにも応えてくれるんじゃないかっていう、岩田さんなら(笑)。

-(笑)ART-SCHOOLをよく理解されてる人でしょうからね、多少のわがままは。

(笑)そう。あと、今回は……。話を戻すと、“ニューゲイザー”のバンドとかって、綺麗な音像っていうよりは、モワーンとしてるじゃないですか。そういう感じを再現してみたかったんですよね。音のバランスが異常だなって感じるのもあったりするじゃないですか(笑)。そういう音楽から受けた刺激を……。3曲目の「into the void」なんかは象徴的だと思うんだけど、俺が思う“ニューゲイザー”な感覚、不安定な感じとか、揺らいでるような音像を表現したかったんですよね。

-あの曲の音の重なりは、たしかにそんな感じ。リズムを真ん中に置いて、ギターと声がその上を揺らいでるように響いて……。

妙に不安定じゃないですか、あれ。それが頭の中で鳴ってたんで、具現化しようと思ってずっとミックスしてましたもん。最後はもう、プロトゥールスの波形ばっか見てましたから(笑)。

-(笑)約3分っていう短い時間の中で、音の位置とかバランスを緻密に考えてる木下くんの姿が浮かびます……。僕も一時期やってたんですけど、自分が好きな音って何か共通項とかあるのかなと思って、スペクトルアナライザーで波形を見て周波数調べたりして。

(笑)分かります。俺も、例えばスマパンとかブンブンとかのアルバムを波形をとおして見たら、やっぱ同じなんですよね。つまり、ちゃんとロー(低音域)の部分が……。ちょっと専門的になっていくんですけど(笑)、日本のロックって、“ローエンド”って言われてる部分がほとんど切られてるんですよ。それって、通常は人の耳には聞こえない部分だから切られてて、波形的にはなんかちょっと変な感じなんですけど、でも……。スマパンとかブンブンの作品もそうなんだけど、俺が感じる良い音は、波形で見るとローエンドの部分が切られてないんです。

-へえぇーっ……(感心)。

そうなんですよ。で、波形がスマートで。それが、一見は綺麗に聴こえる他の音楽では波形が切られてて、いびつになっちゃってて。そうすると、綺麗には聴こえて、ハデには聴こえるんだけど、俺が好きな音楽を聴いて感じる立体感はないんですよね。だから……。いわゆる“綺麗な音像”とはちょっとイメージが繋がらないかもしれないけど、そこはちゃんとスマートな曲線を描くような感じにしたくて、俺はずっと波形見ながらやってますね(笑)。ART-SCHOOLの作品では。