Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

FEATURE

Japanese

PIGGS

 

PIGGS

プー・ルイ  インタビュー/文:宮﨑 大樹


伝説のアイドル・グループ BiSの元メンバーであるプー・ルイが、社長兼プロデューサー兼メンバーとして結成したアイドル・グループ PIGGS。"全身全霊アイドル"をコンセプトに掲げ活動を続け、コロナ禍においても自主企画イベントをすべてソールド・アウトさせた、今ノリにノっている5人組だ。そんな彼女たちが、2022年5月9日に渋谷Spotify O-EASTで開催した"SOUL MEAT 2929 TOUR"ファイナルでメジャー・デビューを発表した――のだが、話はそこで終わらない。メジャー・デビューと共に前代未聞の企画が発表されたのだ。その企画の名は"#PIGGSメジャーへの挑戦"。これは、PIGGSのメジャー1stシングルのプロデュース権を賭け、TEAMメジャー(某メジャー・レーベルの繋がりによる制作陣)とTEAMインディー(プー・ルイが代表を務める株式会社プープーランドの制作陣)が、互いのクリエイティヴで対決するというもの。どちらの作品がTEAMメジャーか、TEAMインディーかによるものかはあえて伏せ、TEAM A、TEAM Bとして両者が描く最高のPIGGSをクリエイトするのだが、その対決項目は音楽(CD/ストリーミング)、アーティスト写真、ジャケット写真、ミュージック・ビデオ、グッズと多岐にわたる。最終的に、両者が手掛けたインディーズ・ラスト・シングルに対して、どちらのPIGGSが好きだったかをリスナーに投票してもらうことによって勝敗が決するというものだ。

そもそもなぜこのような企画が生まれたのかというと、PIGGSのメジャー・デビュー以降の制作チームについて、プー・ルイと某メジャー・レーベルA&Rのブタ山(仮名)とで認識の相違があったことから始まる。プー・ルイは、"今までお世話になったプープーランド制作陣とやる"、一方でブタ山は"一番良いもの、良い制作陣を、その都度探していく"と主張したそうだ。議論が平行線になるなかで、"このままだとすれ違い続けてまずいから、とりあえず1回ぶつかろう。しかもそれを全部見せたほうがプー・ルイらしいよね"という話になり、今回の企画が始動したわけだ。対決という形をとるが、プー・ルイ含め、メンバーとブタ山との関係は良好。同じ目標を見据えたうえで、あくまで最適な道を探る方法のひとつとして真剣勝負するというのがポイントである。ここから先は、プー・ルイ社長のコメントを交えつつ、本企画に迫っていきたい。まずは、この企画を実行することに対して、当のプー・ルイには期待と不安、どちらが大きかったのかを聞いた。

プー・ルイ:やる前までは不安はなかったです。PIGGSは1年目に徒歩ツアー(※東京~大阪間を徒歩で往復したツアー"WALK or PORK TOUR")とか100回踊るとか、そういうのをやってきていたんですけど、最近はそういう企画をやらない時期が長くあって。個人的にはドMなので(笑)、何かトピックがあるほうがワクワクするんです。(企画を)やると決めたときは、早くぶーちゃんズ(※PIGGSファン)にメジャー・デビューを伝えたいし、2個の作品をみんなでワイワイ言いながら決めていくのも楽しそうだなと、不安よりもワクワクのほうが大きかったですね。ただ、5月のツアー・ファイナルで、メジャー・デビューとこの企画を発表したんですけど、意外と喜ばれなかったというか。私は、ありがたいことに今までにもメジャー・デビューをいっぱいさせていただいたんですけど、そのときとはちょっと違った感じだったんですよ。そのときよりも"大丈夫?"と思われていると感じる瞬間が多くあって。そこで初めて"先走ったかな?"みたいな不安が出てきたというのはあります。ただ、不安は出てきたんですけど、それを正解にしていくのが仕事だと思うので、腹を括って"みんなに言ったからにはやるしかないな"と、すぐに気持ちが切り替えられました。

そうして企画が始動してから、アーティスト写真、ジャケット写真と、TEAM AおよびTEAM Bによる作品が随時公開されている。特設サイトでは現時点での投票(いいね)がスタートしていて、投票状況も段階的にSNSで発表されているのだが、本稿の執筆時点(6月中旬)での投票状況は、意外なまでに拮抗している。

プー・ルイ:私も意外でした。現状で投票しているのって、たぶんコアなファンの人ばかりだと思うんですけど、今までPIGGSは"チームを大切に"みたいなことを言ってきていたので、みんな"PIGGSチーム推し"というか、"ファンならわかるのかな?"と思っていたんです。なので"意外とわからないものなんだ"という驚きはありました。まぁ、わかったうえでフラットに好きなほうに投票してくれているのかもしれないですけど。でも、本当に意外でした。7:3とか2:8とか、大差で別れるのかなと思ったんですよ。これは嬉しい誤算でした。思い入れがあるからこっちが勝っちゃうとか、そういう感じが一番寒いなと思っていたので、いい感じの拮抗に感じますね。

今の時点でも企画の手応えはありそうだ。だが、プー・ルイはこう続ける。

プー・ルイ:手応えはあるけど、まだぶーちゃんズが(投票している)というところは感じるので。これからメジャーに行くアイドルもバンドもいっぱいいると思うし、メジャーに行くにあたって制作チームを変えるとか、そういうことを経験している人もざらにいると思うんです。そういう人たちまで届くのが本当はいいなぁと感じていて。そこが課題だなと思っています。

さて、TEAM AとTEAM Bによる制作は並行して進められていたのだが、両作品ができあがっていく様子を、プー・ルイは社長としてどう見ていたのだろうか。

プー・ルイ:私は社長としてはフラットに見なきゃいけないんですけど、やっぱり私を中心に、友人で制作チームを固めているというのもあって、"本当はインディーに勝ってほしいな"って、どうしても考えてしまうんですね。だけど、やみくもに排除するのも良くないなというのは、メジャー側の制作物にメンバーとして参加して思いました。こういうプロモーション日なんて今まで作ったこともなかったですし、どっちにもいいところがあって。

プー・ルイから見た、それぞれの長所/短所について、詳しく聞いてみた。

プー・ルイ:インディーは、PIGGSにしかできないことを念頭に今までにやってきたので、濃度が濃いというか、アチアチなものが作れるというのが良さで。制作チームも人生を賭けてやってくださって、"自分もPIGGSのメンバーだ"くらいに思ってくれています。そこの一体感とか伝えたいことの厚さ、重さはやっぱりインディーのほうが重いのかな。でも、こちら側の欠点――欠点ではないんですけど、お金の面では今回メジャーの予算の半分とか1/3とかなんですね。お金が使えないのは欠点。あとはそれぞれが専門職じゃないので、例えばライアン(Ryan.B)だったら曲を作るのは上手だけど、ミックスやレコーディングはPIGGSが初めてとか、METTYはアイドルの衣装を作るのは初めてとかで。その道のプロと戦ったときに、みんなそれぞれ自分に足りない部分は感じたのかなと。私も、みんなから話を聞いたり客観的に見たりして、そこの部分がインディーの弱さで、でもそこをカバーする熱さがあるのかなと思いました。裏を返せば、メジャーは新鮮だし、ブタ山さんもフラットにいろんなことを考えてくださるので、私では思いつかないことをやってくれて。それがファンの人に受け入れられているのも面白いなと思ったし、あとはやっぱりクオリティですね。インディーのクオリティが低いわけじゃないんですけど、やっぱりプロってプロなんだなと感じました。でも、もしかしたらPIGGSじゃない人たちがやっても成立しやすいものでもあるのかもしれないなと。例えば、デビューして売れるのはメジャーのほうなのかもしれないですけど、メンバーとかがしっかりしていかないと、消えるのも早いだろうなって、そういう怖さは感じます。なので本当に長所と短所が逆みたいな。もしこれが合わさったら、めっちゃガンって上がるのかな、というのはやっていて思いました。

プー・ルイの言う通り、両者の強みを認識して力を合わせていくという第3の選択肢を取ったときに、どんなクリエイティヴィティが発揮されるのかは気になるところだ。

プー・ルイ:それが一番の理想型なんです。だけど、戦っています(笑)。ただ、この企画をやらなかったら、お互いにわからないままメジャー・デビューしていたと思うので、そのほうが怖いなと。お互いにお互いがリスペクトできる部分を再認識したし、まだ企画は終わっていないですけど、本当にやって良かったです。今は必要な時期を過ごしているなと感じます。こういうふうに、納得いくまでいい意味での喧嘩、殴り合いをして、最後は"お前も強かったな"みたいに言い合えたらいいですね。

ところで、筆者が今の時点でできあがっているクリエイティヴに対して感じたことは、"どっちもPIGGSだ"ということだった。"メジャーに行って変わっちゃった"なんて、よく言われがちな話はあるが、TEAM A、TEAM Bの作品にはどちらもそういった印象はない。それは、ひとえに作品の芯にある本当のPIGGSらしさ、PIGGSのアイデンティティが損なわれていないからなのではないか。

プー・ルイ:かわいいとかカッコいいがPIGGSじゃないと思うんですよね。ありきたりにはなっちゃうんですけど、何事も全力で取り組むことがPIGGSらしさで。なのでどっちの歌を歌っても、その両方に対して全員が全力で考えて、ぶつかっていれば問題はないのかなというのは、ライヴをしてやっと受け入れられました。PIGGSはPIGGSだった。塩ラーメンと豚骨ラーメンみたいに味は違うけど、どっちもPIGGSだというのは感じることができたんです。それまでは不安というか、"どうやって解釈したらいいんだろう"とか不安な部分もあったんですけど、メンバーも同じようなものを感じていたのが良かったですね。

"PIGGSはPIGGS"。そのことに気づけただけでも、価値のある企画なのではないかと思う。ただ、忘れてはならないのは、今回の企画はあくまでメジャー・デビューへの助走という意味合いが強いということだ。つまり、PIGGSにとっての本当の勝負はこの企画の先にあると言ってもいいだろう。では、この企画の勝敗が決定したあとに、プー・ルイはPIGGSのどんな未来を描いているのだろうか。

プー・ルイ:勝ったほうがプロデュース権を握るという企画ではあるんですけど、どっちが勝ったとしても、PIGGSとしての話し合いは続いていくわけで。今回わかったお互いの強い部分と弱い部分を出し合って、最高のメジャー・デビューを迎えるのが一番の目標なのかなと思います。それができないと、行きたい場所には行けない。私は、何回も失敗してるし、メジャー・デビューでも失敗しているんです。下駄を履かされたというか、きれいなものを渡してもらったのに、自分が追いついていないから似合わなくて。それで上に行けない時期もあったので、今回はそうならないように、メンバーと一緒に考えて、レベルアップして追いついていきたい。ファンの人にも一緒にいっぱい考えてもらって、ファンのみんなも一緒にメジャー・デビューするくらいの気持ちで迎えたいなと思っています。

プー・ルイが立ちたい場所。それは、彼女のこれまでのアイドル人生を語るうえで欠かすことができない、日本武道館、横浜アリーナという、ある種の呪いのような場所のことだ。

プー・ルイ:呪いだと思います。PIGGSは、メジャー・デビューしてまた新章が始まると思うんですよ。結成当初から武道館や横浜アリーナを目指すと言っていたんですけど、ここから具体的に、本当に目指していくはずなんです。そこにたどり着いたら、それが本当の始まりなのかなという自分もいて。でも、その始まりが終わりかもしれないとも思っているんですよ。自分でも何を思うかわからない。ただ、そこには絶対に立たなきゃいけない。"プー・ルイとして、絶対に立つべき場所だ"というのはあって。それは、みんなも思ってくれています。絶対に立って、そのときに何を思うのかは、自分の中で楽しみです。今はそこで解散するのは嫌ですし、終わろうとは1ミリも思ってないですよ。自分は社長ですし、他の子たちはもっと上に行きたいと当たり前に思っているはずなので、そこで終わりとは全然考えていないです。実は自分の中で"こうなりたい"という、その先も初めて出てきていて。そこを目指すには横浜アリーナじゃ足りないと思っています。だから、今が人生で一番楽しいです。楽しいけど、怖い。

そう語るプー・ルイの目はキラキラしていて、それでいて強い意志も宿していたように思えた。プー・ルイの、PIGGSの未来が楽しみだ。

プー・ルイ:10年前の自分は"自分が良ければ全部いい"みたいな、子供っぽい感じだったんです。けど、旧BiSの解散から今までにたくさん挫折をして、変わってきた自分をやっと受け入れられたので、その経験を生かして新しいものを見せていけたらいいなと。新しいものというか"プーちゃん(プー・ルイ)みたいになりたい"とか、"こんなにボロボロになってでも頑張ってるから、自分も頑張ろう"みたいな、そういうふうに思ってもらえるようになりたいです。30歳を超えてアイドルをやっているなんて思っていなかったですし、今こうやってできていることが奇跡だと思うので、私にはそれを発信していく義務があるのかなって。昔は、アイドルは処女じゃなきゃいけないと思っていたんですけど、"赤ちゃんを抱いて「とらえる」とかやったらカッコいいなぁ"とか思えるようになりました。後輩という言い方は変ですけど、今のアイドルちゃんたちには一生アイドルをやりたい子もいると思うので、その子たちがいろいろなことを諦めないで済むような世界が来たら、楽しいのかなって感じです。なんか、偉そうなこと言いました(笑)。

PIGGSの未来を占う"#PIGGSメジャーへの挑戦"企画。ぶーちゃんズはもちろん、まだPIGGSのことを知らない"あなた"にこそ、ぜひ投票に参加してもらいたい。




TEAM A
インディーズ・ラスト・シングル Type A
『BURNING PRIDE/豚反骨精神論』


piggs_sg_A.jpg
2022.07.13 ON SALE
PIGGS-000008/¥1,320(税込)
amazon TOWER RECORDS HMV

1. BURNING PRIDE
2. 豚反骨精神論
3. I don't believe in ADULT

PIGGS / BURNING PRIDE [Official Video]


CROSS REVIEW: Type A

Writer:稲垣 遥

"あきらめねえー!!"という絶叫から始まるTEAM A作品。目からビームが飛び出るなど懐かしのアメコミ映画風のジャケ写がインパクト大だが、ダーク・ヒーロー的なヴィジュアルではあるものの、1曲目「BURNING PRIDE」でのまっすぐで全力投球な歌唱は主人公感に溢れている。レトロチックで耳馴染みのいいメロディも、5人の意志の強いヴォーカルで刺激的なものにし、鍵盤やストリングスも楽曲をドラマチックに彩る。カップリングの「I don't believe in ADULT」は"オイ! オイ!"と熱く拳を振るいたくなるロック・チューン。泥臭さを前面に押し出し、"不可能可能かは未来人以外分かんないじゃんか"という反骨精神を露にするPIGGSらしい一節がじんとくる。

Writer:真貝 聡

真っ赤な背景にライダース姿のアーティスト写真からは70sのパンクを、コミック調のフォントや顔の加工を施したジャケット写真からは、80sのハード・ロックやメタルを感じる。いざTEAM Aの曲を聴いてみると、その印象は間違いなかった。「BURNING PRIDE」は冒頭でメロディアスなギター・リフが耳を襲い、プー・ルイのエコーがかかったシャウトをきっかけにゴリゴリのヘヴィな演奏がお出迎え。しかし、その雰囲気のまま歌に入るかと思いきや、疾走感と泣きのメロが心を打つ。「I don't believe in ADULT」は、RAMONESを想起させる掛け声から始まって、ラウドでクールな演奏に青春パンクを感じる日本語ロックがこだまする。いわば、これはロックのいいとこ取りをした最凶の1枚。

Writer:吉羽 さおり

ホラーやヘヴィ・メタル、ヒップホップのモチーフをネタに"Parental advisory"ロゴのパロディもありと、厳ついジャケ写によるTEAM A。真っ赤な背景で黒い衣装に身を包み目線を向けるコントラストの強いアー写とともに、音楽も重厚で、パワフルなバンド・サウンドが基調となった。自分の思う自分自身を勝ちとっていく思いを綴った「BURNING PRIDE」では、"あきらめねえ"の叫びから心の内側にある弱さや恥ずかしさをも燃料にして爆発させる。歌で拳を高く掲げつつも、泣きのメロディやラストに来るドラマチックなピアノの旋律が、ナイーヴに揺れる葛藤も孕んでいて泥臭い。そのリアリティが「I don't believe in ADULT」のシンガロングを力強く、確かなものにしている。



TEAM B
インディーズ・ラスト・シングル Type B
『豚反骨精神論/BURNING PRIDE』


piggs_sg_B.jpg
2022.07.13 ON SALE
PIGGS-000009/¥1,320(税込)
amazon TOWER RECORDS HMV

1. 豚反骨精神論
2. BURNING PRIDE
3. ゴースト

PIGGS / 豚反骨精神論 [Official Video]


CROSS REVIEW: Type B

Writer:稲垣 遥

"豚反骨精神論"という厳つい曲名とは裏腹、ピアノをバックにしたクリアな歌唱からの幕開けで、洗練されたスタイリッシュな音像を冒頭で示すTEAM B作品。デジタルなSEやヴォーカルのエフェクト、トリッキーな楽器のフレーズも随所で効果的に使い、垢抜けたモダンな仕上がりのPIGGSを感じられる。光の射すほうへ疾走するような1曲は、ステージを変えて歩みを進めようとするグループの今にもぴったりだ。こちらのカップリングの「ゴースト」は、どこかノスタルジックさもあるギター・サウンドと、アグレッシヴさよりもしなやかな凛とした懸命さを意識したようなヴォーカルが印象的なミドル・テンポのナンバー。フェミニンさも纏うアートワーク含め、5人のこれまであまり見せなかった表情にドキッとさせられるシングルとなった。

Writer:真貝 聡

メンバーの何かを訴えるような表情が印象的な、アーティスト&ジャケット写真。タオルで身体を隠していることに意味があるのかもしれない。そう思いながら「豚反骨精神論」を再生する。ピアノを背景に煌びやかな歌から、Aメロで歪んだギターのリフと電子音、Bメロで広いレンジのリヴァーブが入ることで楽曲の壮大さが拡張。2番になると、また違ったサウンド・アプローチがあり終始驚きが続く。まさに、ひと言で表せられないようなめまぐるしい展開の応酬だ。「ゴースト」はミドル・テンポと浮遊感のあるUKロックな楽曲で、メンバーのコーラス・ワークとクリーンなギター・リフがポイント。TEAM Aを含めて、他にない噛めば噛むほどハマる中毒性の高さが魅力。何度も聴いても新しい発見がある、秘め事的なシングルとなっている。

Writer:吉羽 さおり

ベースは疾走感の高いバンド・サウンドだが、歌やビートの加速とともにキラキラとしたエレクトロな音響がほとばしる「豚反骨精神論」。不可能を可能にするパンキッシュなパワー、PIGGSという一筋縄でないグループの感じをポップに、マジカルに表現したのがTEAM Bだ。布1枚で覆ったヌーディでナチュラルな写真に、スタッズや安全ピン、アナーキーなロゴなど、パンクなモチーフをかわいらしく落書きしたアー写やアートワークも遊びがある。が、一方でポップさだけでは終わらないのではないかとハラハラとさせる感覚があるのも、また事実。「ゴースト」では、凝り固まった常識の中で育ち続ける違和感を爽やかなギター・ロックで炸裂させるが、そんなヒリヒリとしたノイズを内包したポップさがPIGGSらしい。

  • 1