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FEATURE

Overseas

SWIM DEEP

2014年01月号掲載

SWIM DEEP

Writer 山口 智男

マンチェスター出身の4人組、THE 1975のジャパン・ツアーのサポート・アクトとして実現する初来日に合わせ、SWIM DEEPが昨年8月、イギリスでリリースしたデビュー・アルバム『Where The Heaven Are We』がついに日本盤化されることが決まった。
彼らはイギリス第2位の都市の座をマンチェスターと争うバーミンガム出身の4人組ロック・バンド。いま、イギリスではB-TOWNと呼ばれるバーミンガムのインディー・ロック・シーンがにわかに盛り上がりを見せはじめているが、このSWIM DEEPは昨年、SUMMER SONIC出演に加え、単独でも来日を果たしたPEACEや、昨年8月に日本でミニ・アルバムをリリースしたJAWSとともに、B-TOWNシーンをリードする存在として注目されている。
もちろん、早耳のリスナーはすでに『Where The Heaven Are We』のみならず、彼らが昨年5月に日本でリリースしたEP『Sun On My Back』も含めチェックしていると思うが、デビュー・アルバムの日本発売と来日をきっかけに彼らに注目するリスナーはさらに増えると思うので、改めて彼らのことを紹介しておきたい。
SWIM DEEPの結成は2011年。スーパーマーケットの商品陳列のアルバイトに飽き飽きしたAustin Williams(Vo/Gt/Key)とTom Higgins(Gt)がそれまで盛んにやっていた音楽談義に終止符を打ち、自分たちでもバンドを始めたことがそもそものスタートだった。その後、メンバー・チェンジを経て、バーミンガムのバンド、CAJOLE CAJOLEのドラマー、Zachary RobinsonとPEACEのマーチャン担当だったCavan McCarthy(Ba)が加わり、現在のラインナップが完成。2012年5月、「King City」でシングル・デビュー。その後、SPECTOR、BASTILLE、TWO DOOR CINEMA CLUB、MYSERY JETSといったバンドと共演しながらその存在をアピールしていった彼らがメジャー・レーベルと契約後、FLORENCE AND THE MACHINEやKAISER CHIEFSを手掛けたプロデューサー、Charlie Hugallと完成させたのが『Where The Heaven Are We』だった。
そこで彼らが奏でている極彩色というよりはパステル・カラーという言葉がふさわしいサイケ・ポップ・サウンドを聴き、年季の入ったロック・リスナーである筆者のみならず、多くの人が90年前後のマンチェスター・サウンドやさらに遡って80年代のUKネオ・サイケを思い浮かべるようだが、シングルとしてリリースした「King City」「Honey」「The Sea」をはじめ、粒揃いの楽曲の数々はその頃を知らない若いリスナーでさえも懐かしいと感じられるような不思議な魅力でいっぱいだ。光の粒をまとったようにキラキラと鳴るギターにしても、淡い音色のキーボードにしてもやさしげなAustinのヴォーカルにしても強烈な印象があるわけではないが、たぶんそのへんが彼らの人気の秘密なのかもしれない。
『Where The Heaven Are We』は全英20位というまずまずのヒットを記録。そこで手応えを得たAustinは夢をさらに膨らませる。"オリジナルな存在になりたい。ポップ・ミュージック・シーンで大きな影響力を持ちたいんだ。必ずしも商業的な成功を求めているわけじゃない。それはしかるべき時にしかるべき場所にいれば得られるもの。俺が求めているのは最大の影響力さ。みんなが一緒に演奏したいと思うようなバンド、尊敬されるようなバンドになりたいんだ"
ここ日本でようやく第1歩を踏み出したSWIM DEEPの今後の活躍に期待したい。 

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