Japanese
つしまみれ
2010年04月号掲載
Writer 遠藤 孝行
中毒性の高い骨太なロック・サウンドとキュートで赤裸々な乙女心を歌った歌詞で人気を集めるつしまみれが待望の2ndシングルをリリース。
昨年結成10周年を迎えた彼女達は昨年6月にメジャー1stフル・アルバム『あっ、海だ。』を発表。リリース同日に恵比寿リキッドルームでマイナーリーグ、STANCE PUNKS等豪華ゲストを迎えて行われた~つしまみれ結成、10周年記念フェスティバル~「バンドは水物」も大盛況の内に終了し、日本のガールズ・バンドの中においても独特の存在感と高い人気を見せつけた。彼女達の最大の魅力の一つとなるのはこの日三部に分けて行われたことからもうかがえる圧倒的なライヴ・パフォーマンスだろう。国内外のフェスティバルや全米ツアーで鍛え上げられた3人の鉄壁のバンド・アンサンブルは人々の心を捉えて離さない。
まず彼女達のこれまでの歩みを簡単に振り返ってみよう。99年の大学のバンド・サークルで出会った3人はすぐに意気投合しバンドを結成。それぞれの名前と“まみれ”という言葉を合体させて作った「つしまみれ」というバンド名で活動をスタートさせる。大学卒業後は仕事とバンド活動を両立させていたが、バンドは今しか出来ないと決断し音楽まみれの生活へと突入していく。転機となったのは2004年アメリカ最大のフェスティバルであるSXSW(サウスバイサウスウェスト)のオーディションに応募したことがきっかけでアメリカ・ツアーが決定したことのようだ。彼女らは無名の存在ながらも全米に確かな爪痕を残すことに成功する。そしてこの時期にバンドとしての雛形が完成していった。日本でもELLEGARDEN、PE’Zなどの人気バンドとツアーに出るなどの経験を積み、渋谷クアトロをワンマンで満員にするほど人気を獲得していく。
これまで3枚のミニ・アルバムと1枚のフル・アルバム、そして1枚のシングルを発表して来た彼女達はアメリカの人気アニメーションである『パワーパフガールズ』とのコラボレーション・アルバムをリリースするなど日米を跨るアグレッシヴな活動を行っており日本のロック・バンドの中でもかなり特殊なキャリアの持ち主と言っていいだろう。勢いのあるガレージ・ロック・サウンドを基本としながらキャッチーなメロディと時にまくしたてる様に歌うヴォーカル・スタイルの組み合わせはとてもオリジナルで強烈な魅力を持っている。その彼女達が作り上げた音楽性は日本に止まらない多くの人々を魅了していったということだろう。
今まさに次のステップへと進み出そうとしている彼女達のニュー・シングル「ストロボ」は意外にもシンプルなラヴ・ソングだった。「脳みそとショートケーキ」や「うめうまいタネデカイ」などかなり個性的でインパクトある言葉選びをして来た彼女達が打ち出した新機軸は“恋に落ちたら”という誰もが共感しうるテーマをストレートに歌うことだった。浮遊感と疾走感を併せ持ったサウンドと伸びやかでキュートな歌声は誰もが感じたことのある思春期のざわめきをそのまま切り取った様な、とても初々しくキラキラしたもの。いつもの彼女達のイメージとは違う純粋な乙女心が歌われている。
カップリングの「かげがえのない日々」はドカドカしたロック・サウンドとコミカルな歌詞をラップ調に歌い上げる本来のつしまみれ節が炸裂するナンバーで、まさに今回のシングルは彼女達の魅力が詰まった渾身の作品だ。
5月にはいよいよニュー・アルバム『Sex on the Beach』のリリースが決定!こちらは次号でインタビューも合わせてたっぷりお届けする予定。お楽しみに。
★つしまみれにまみれてしまったアナタに届けるガレージ・ロック3選★☆★☆★☆★☆★☆
ミドリ『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』(2008)
「大阪のいびつなJUDY AND MARY」という異名を持つ日本のガレージ・パンク・バンドの最高峰。後藤まりこの描く強烈な世界感の中に漂うポップネス。5月には待望の新作も。
GO!GO!7188 『ベスト・オブ・ゴー!ゴー!』(2006)
乙女心をガレージ・パンク・サウンドに乗せて歌わせたらピカイチの3ピース。歌謡テイストのメロディも含めて中毒性は高い。まずはヒット曲満載のベスト・アルバムを。
住所不定無職『ベイビー!キミのビートルズはボク!!!』(2010)
THE BEATLESやTHE BEACH BOYSなどのロックンロール、60’Sポップ・ミュージックをそのままヘロヘロ・サウンドで確信犯的に歌い上げるガールズ・バンドのニュー・カマー。
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