Japanese
2024年01月号掲載
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「悪魔の子」がSpotifyで1億再生を突破し、この曲の人間の深淵を覗き込むような表現力と映画的なトラックが彼女のイメージとして定着しつつあるが、ヒグチアイのベーシックは誤解を恐れず言えばラヴ・ソングの様々な形なのだと思う。アルバムとしては5作目を数える本作でも数多い映画やドラマへの書き下ろし曲が収録されているが、アルバムとして曲が並んだ際の「このホシよ」での恋の狂気と「恋の色」での叶わない恋の経験でむしろ自分を見つけるところや、サスペンスフルな「誰でもない街」と普遍性をアンサンブルでも紡ぐ「この退屈な日々を」といった対照性。だが、どちらも同じ人間の心から生まれた気持ちなのだ。特徴的な声質だが、自分が見えているという意味で誠実な歌声が、共感の解像度を上げる。(石角 友香)
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