Overseas
2022年10月号掲載
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10作目のアルバムでBjörkが示したのは、母なる自然に溶け込むような透明感、そしてパワフルな生命力を感じさせるサウンドだ。幸福感や不安な気持ちなど様々な感情を呼び起こす多彩なコーラスのハーモニー、そして大地への畏敬と共に人の営みにも優しい眼差しを向ける美しく調和した電子音、厳かな響きのアイスランド語、管楽器の楽し気な音が散りばめられた楽曲、舞台演出のように示唆的に鳴るストリングスの響き。ミュージカルみたいにシアトリカルでありながら、答えのないアブストラクティヴな今作は、まさに彼女の神秘性と独創性がひとつの空間に結実したような作品だ。複雑で厄介なこの時代に、プリミティヴな生命の賛歌を紡ぎ、ひとつの表現として世に生み出したBjörkの偉大さを感じる。(山本 真由)
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