Overseas
2021年01月号掲載
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SIGUR RÓSが2002年にオーケストラとコラボレートした演奏が、実に18年の歳月を経てアルバムとなった。今作は、古エッダの形式で書かれたアイスランド語の詩"オージンのワタリガラスの呪文歌"を題材としているのだが、北欧神話の世界は、詩的でアンビエントなサウンドを紡ぎだすSIGUR RÓSにぴったりの題材と言えるだろう。オーケストラの重厚な響きと物悲しいメロディは、ラグナロク(神々の滅亡)を描きながら、美しいアイスランドの自然に迫る環境破壊の危機を示唆する。伝統歌謡の歌い手 Steindór Andersenの語り部的な滔々とした歌唱と、神話に登場する神々を思わせる神秘的なJónsiのファルセットの対比も素晴らしい。壮大で儚い美しさに満ちた至極のアルバム。(山本 真由)
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