Overseas
2017年04月号掲載
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2015年に開催された第57回グラミー賞授賞式で、いまは亡きPRINCEは"みんな、アルバムって覚えてる?"と口にした。名門レーベルMatadorに復帰したSPOONの新作は、そんな彼の言葉への最適解のようにも受け取れる。表題曲「Hot Thoughts」のアトモスフィアなサウンドから、オールドスクールなコード進行にシンセを重ねるプロダクションなど、変化を恐れないそのスタイルは、いくら時間が経ってもルーキーだったころを思い出させる。だが、20年のキャリアで得た知見と、現在の母国アメリカのビルボードに見るブラック・ミュージックの特性がグルーヴとして見事に取り入れられているあたり、やはりベテランであることに変わりはない。バンドであり、バンド・サウンドに縛られない。まさにPRINCEが体現してきたスタンスを汲み取る、アルバムで聴き取るべき作品である。(小田 淳治)
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