Japanese
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心に響くポップ・ソングに色をつける、シンガー・ソングライター的な私小説の視点と、ピアノやマリンバ、ホーンなど多彩な楽器群。しかしひとりの脳内で生み出されたフィクションならではの少々、異様なバランスがバンドにはないイマジネーションを広げてくれる。トラディショナルなアメリカーナのニュアンスは大橋トリオや星野源的なイメージもあり、ボサノヴァやジャズが下地にありつつ不穏なコード進行を聴くことができる曲ではイツキライカならではのセンスも。総じてサウンドのひとつひとつにも総体にも季節や温度感、時間帯まで疑似体験できるような質感があり、それが無二の魅力に繋がっている。日常を切り取っているかのようで、実はエモーションを掻き立てる言葉も秀逸。静かに音楽的な興奮が聴き手の内側に立ち上がる。(石角 友香)
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Skream! 2024年09月号