Overseas
2014年09月号掲載
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MASSIVE ATTACKとともにトリップホップ/ブリストル・サウンドの立役者と謳われるTrickyがロンドンで完成させた11作目のアルバム。多くの女性シンガーを迎えたヒップホップとポスト・パンク、そしてレゲエ/ダブのミクスチャーという基本路線は変わらないものの、ラヴァーズ・ロックの代名詞とも言えるJanet Kayによる1979年のヒット・ナンバー「Silly Games」の意表を突いたカヴァーが、息が詰まるような緊張感に終始しがちなTrickyの作風に風通しの良さを加えている。その一方ではイスラエルによるガザ地区空爆に対する抗議とも言える「My Palestine Girl」のようなプロテスト・ソングも歌い、あいかわらずの硬派ぶりも印象づける。現代のブルース・シンガーを名乗るTrickyの面目躍如と言える1枚だ。(山口 智男)
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