Overseas
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一日が終わりを迎え、始まりに切り替わる瞬間はいつだろう。夜明けは終わりでもあり、始まりでもある。Miles Kaneは、そんな時間や空間の連続性の中に自分自身を見出している。血が湧き踊るビートとタイトで熟成されたサウンドは、密度が濃い。時間軸を思わせる楽曲は、圧倒的な完成度を誇る一日を記した日記、大きくはMiles Kane個人の歴史のようでもある。最終的には「Morning Comes」と歌い、終わりから始まりのシフトを予感させる。歴史の最後に終わりが訪れない、それこそがMiles Kaneが仕掛ける“罠”なのだ。オールディーズを踏襲した正統さの中に見え隠れする、狡猾さと貪欲ささえも心地よい。THE LAST SHADOW PUPPETS、THE RASCALES、THE LITTLE FLAMES――彼がこれまでに刻んだキャリアは、みんな忘れてしまえ。純粋培養の美意識の前では、冠言葉ほど無用なものはない。(山田 美央)
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Skream! 2024年09月号