Japanese
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名古屋発の男女デュオ、ミラーボールズの3rdアルバム。主要なボルトを一本抜いてしまったような、骨なしへろへろサイケデリック・ナンバーには、思わず力が抜けてしまう。第一印象は、ゆらゆら帝国が連想されたが、こちらは女性ヴォーカルだからだろうか、昭和歌謡臭漂うサイケデリックといったところ。そのとらえどころのない個性的なヴォーカルは、時には、3、4歳の子供の鼻歌のような、無垢で無防備な声であり、子供が母親にそうするように、足元にしがみついて離れない。また時には、80年代の娼婦のような小悪魔的色香をじわじわと放つ。「小さな恋のメロディ」のような可愛らしい歌詞かと思えば、妖しくどろっとした世界に誘惑されそうにもなる。結果、連想されるのは、ミュージシャンではなく、若かりし日の加賀まりこだったりする。 (島根 希実)
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Skream! 2024年09月号