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グランジって、単に当時のバンドの服装や、ストリートの若者たち、ノイズのように乱暴なサウンドを形容するためだけに用いられたのではなく、“薄汚れた”中にある、シンプルで美しいメロディと、当時の若者が“本当に歌って欲しかった真実”をより輝かせるために用いられた言葉ではないかと思う。00年代に入った今になって、またそんなことに想いを巡らせてしまったのは、彼らのせいだ。NAKED HEARTSのデビュー作は、まさにグランジ直系。ただ、まみれた中にあるのは、「ハロー ハロー どのぐらいひどい?」というストレートな言葉ではなく、大量の情報、多くの人間が溢れ返る中で、それらのエネルギーに影響されてしまうという現状から生まれた、自我という己の核さえ、ひどくあやふやなものであるという、よりナイーヴな00年代の真実だ。(島根 希実)
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