Overseas
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“DRUMS”は“DRUMS”でも、あのハッピーなサウンドで世間を席巻している某バンドとは大違いである。エレクトロ、ハウス、パンクなど、刺激的で挑発的な音が脳内を駆け巡る。PLAYボタンを押した瞬間からじわりと侵食する物々しい空気。唐突に切り替わるように挿入される声の不協和音。ひどく前衛的な映画を観ているかのような印象を受ける。アドレナリンが垂れ流されるかのように飛び交う音は、一曲ごとに目まぐるしくその表情を変容させる。音楽性が似ているわけではないが、雑多で詰め込まれたサウンドは、Klaus Nomiのでたらめにクールな音楽を彷彿とさせる。ゾワッとした鳥肌の感覚は同じだ。オペラやクラシックを中心大胆に彩り、融合させたNomiに対し、Colin Baileyは多種多様な電子音、音としての声をでたらめな分量で衝突させている。それは、ドラッグにも匹敵する危険性を孕んでいる。(山田 美央)
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Skream! 2024年09月号