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ANTONY AND THE JOHNSONSの世界は、あまりにも独自に突き抜けており、安易な気持ちでは触れられない気がする。そう感じたのは彼が敬愛する日本舞踏界の至宝、大野一雄をジャケットに配した前作『THE CRYING LIGHT』でのこと。壮大なサウンド・スケープに唯一無二の歌声は、強固なまでの美意識を醸し、まるでSIGUR ROSなど幼く感じてしまうほどの張りつめた緊張感があった。その孤高の世界観がビルボードのヨーロッパ・チャートで1位を獲得したのは当然な結果か。そして、待望の新作である。前作と比較するとラフな質感を活かし、さまざまなアプローチでこれまで以上に大衆的間口の開かれた印象を受けるが、美意識の芯は揺るがない。歌姫BJORKとのデュエット曲は早くも話題になっているが、個人的にはラスト「Christina's Farm」の壮美な流れに感動した。(伊藤 洋輔)
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Skream! 2024年09月号