モーモールルギャバン ゲイリー・ビッチェの「モーモールル茶番」【最終回】
こんにちは。悲しいお知らせです。10回目を迎えた今連載ですが、残念ながら今回が最終回なのです。突然の報告ですみません。元々は用意周到に生きてゆきたい性分だった私ですが、ここ2~3年が余りにも激動の日々すぎて、いつのまにか目の前の壁を必死で乗り越え続ける日々を送るようになっておりました。今回が最終回だという事も突然の発表になってしまい、さぞかし全国80万人のゲイリー・ビッチェファンの皆様を驚かせてしまったとは思いますが、俺の行き当たりばったりな人生を少しでもファン諸君に押し付けてやろうという事で突然の最終回ですがレッツゴージャンゴー!!
最終回だからって訳でもないのですが、やっぱりいつでもね、考えちゃう訳ですよ。いつか終わりが来るんだろうなぁと。何かが始まれば絶対にいつか終わりが来るようにできてる。「パンティーパンティー叫んでるやつ居たね。そういえば。なんだっけモーモールルジャパンだっけ」とかいつか言われるんですきっと。群馬の大先輩BUCK-TICKやBOOWYに並ぶほど人気が出ればわからないけどね。ははは。
そこまで行きたいなぁ。そこまで行ければバンド名くらいはきっとずっと覚えててもらえるだろうな。バンド名がずっと覚えててもらえるって凄い事だと思うんです。俺いつだか凄くムカついた事があって、「ステージでバンド名だけでも覚えて帰って下さいってMCするバンドは糞」とか言ってる奴が居て、その、バンド名を覚えてもらうって事が、どれだけどれだけ凄い事かもわからずに分かったような事をほざくなボケと本気で怒りを覚えた事があったんです。でもそういうショボい奴ってのは大体地元で小さくまとまってるタイプなので、一応全国的に知名度が出て来た我々がこれ見よがしに「モーモールルギャバンって言います。名前だけでも覚えて帰って下さい」ってステージで言ってやるんです。そうするとほんの一瞬、胸がスッキリするんです。そしてどこまでも深く落ち込むのです。他人に勝って(勝ったつもりになって)得る爽快感なんてほんの一瞬だし、その事により得る事よりも、もしかしたら失うものの方が多いかもしれないんです。それでも、この業界に限らず、俺たちはずっと生まれた時から競争を強いられてきた哀れな人間であって、哀しいかな、競争をしないで生きる術を忘れてしまったのです。
「一生ファンで居ます」「モーモールルギャバンにこの腐った業界を変えて欲しいです」「ゲイリーさんみたいな人と結婚したいです」そんな事ばっかり普段から言われまくってるんですけどね、それは少なくとも俺たちが色んな競争を乗り越えた結果として言ってもらえる事で、「ゲイリーさんにはいつまでもゲイリーさんらしく音楽を楽しんでもらいたいです」なんて言葉を字面通りに受け取ってそこに甘んじたら、一瞬で転落するんですよ。残酷な業界だぁ。自分らしさなんて甘えは極限まで否定しなくてはいけない。それでも残ってしまったものが「説得力のある自分らしさ」だし、音楽なんて楽しめなくなるまで向き合った末ランナーズハイみたくなって頭おかしくなって「ははは。音楽たーのしー」みたくなってる状態が、リスナーの求める「音楽を楽しんでるゲイリーさん」なんだぜ。ははは。音楽舐めんなよ。甘い夢なんて見てんじゃねーぞ。それじゃあまたいつの日か。本当にありがとう。バイバーイ。
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