SPECIAL
山口 哲生
BEST DISC TOP 10
-
No.1
-
大きな節目を迎えたり、悲しい別れがあったりと、気持ちの整理がうまくつかず、沈みがちな2021年でした。そんなくさくさした心のど真ん中に豪速球をぶん投げてくれたハンブレッダーズのアルバムをベスト・ディスクに。ベスト・アーティストは、様々な場所でとにかくよく見た、耳にしたところから。Creepy Nutsが楽曲を書き下ろした“明日のたりないふたり”のラストは、込み上げてくるものがありました。ベスト・ライヴには、アルバム『PANDORA』も素晴らしかったgo!go!vanillasを選出。感染対策を徹底して開催されたすべてのライヴ・イベントと、それを支えたスタッフの方々、ルールを遵守して参加された、もしくはオンラインでモニター越しに見守ったすべてのオーディエンスに、最大級の賛辞を贈らせてください。
BEST ARTWORK
BEST LIVE
go!go!vanillas(2021.11.21 @横浜アリーナ)
BEST ARTIST
BEST NEWCOMER
BEST MUSIC VIDEO
No.1
No.2
No.3
BEST SONG
石角 友香
BEST CHART 2021
-
ベスト・ディスクの順位は不同だが、日本人アーティストの良作、怪作、快作揃い。ベスト以外のところでも、昨年以上に音源やライヴで石若 駿というジャンルを跨ぐプレイヤー/アーティストの表現がそこここに光る。ジャンルの越境なんて陳腐な言葉が霞む新しさに数多く出会えた。ジャパニーズ・ヒップホップの新たなアート・フォームと言えそうなKID FRESINOの新作、奇妙さが武器になり得るスキルとアイディアを持つKroiやBREIMEN。また、志磨遼平(ドレスコーズ)の企み『バイエル』は唐突に歌とピアノのみのリリースに始まり、メンバーを公募したツアーまで、トータルで完遂された“音楽の聴き方”の投げ掛けとして痛烈。そして、海外チャートにも顔を出すOfficial髭男dismの新作の圧倒的強度には正直何度も鼓舞されました。
チャートを見る >>
稲垣 遥
BEST CHART 2021
-
より自由に、のびのびと個性を解放させたアーティストたちに惹かれた1年。ということで、よく聴いた作品をピックアップすると、例年以上にいろんな方向に音がはじけ出すような10枚になりました。1年以上ぶりに再開されたライヴの現場では、快作を引っ提げた春のLucky kilimanjaroの日比谷野音公演の景色が、未だに瞼の裏に焼きついています。依然予断を許さない状勢の中、大雨すらも演出に変えてとんでもなく美しい時間を堪能させてくれました。また、海外での経験を吸収して作品にも生かし、独自のポジションを確立したCHAIは“FUJI ROCK FESTIVAL '21”のステージも楽しかった。関西で話題を集めていたバンドの元メンバーらが集結した実力派ニューカマー、(夜と)SAMPOは今年の活躍に期待大。
チャートを見る >>
TAISHI IWAMI
BEST CHART 2021
-
コロナ禍のため1月から10月いっぱいはほとんど家にいた。時短営業要請に沿って昼間から開けていた近所のバーに週2、3回行くことが数少ない楽しみのひとつだった。とはいえ小さな街の商店街にひっそりと佇む店なので、客はいつも同じ顔ぶれ。いよいよマンネリムードが限界にきたタイミングで店主が流した、TAME IMPALAのライヴ映像でみんなの心がまたひとつになった。
家では鈍った身体や荒んだ心を吹き飛ばすように、ダンスなパンクや熱いソウルを聴いて自分を奮い立たせていた。疲れたときは、窓からさす光を浴びながら聴くフォークが気持ち良かった。それらのほとんどは新譜。過去の音楽はほとんどなかった。好きがどんどん更新されていく幸せ。文化の積み重ねに感謝しながら、2022年も書き、DJをし、パーティーを作ります。
チャートを見る >>
宇田川 佳奈枝
BEST CHART 2021
-
Z世代のリスナー層が増えSNSでの音楽の広がりが一般的になっている昨今、“音楽とは?”という大きなテーマについてよく考えた1年でした。ベスト・ディスクはサウンド面での面白さが詰まった作品と、普段ライヴハウスに行かないような人たちにもオススメしたい作品を10枚。そして、今年イチ衝撃を受けたのがキタニタツヤ。自身の作品はもちろんだが、他アーティストとのコラボ曲がとても良かった。キタニ節を残しつつも、出すぎず楽器の一部として曲中に存在する、アーティストとしてのキャパシティの広さを感じました。ベストMVで選んだリュックと添い寝ごはんの「東京少女」は歌詞も印象的で、“少女”なのに“僕は東京少女さ”で終わる予想外の展開に驚かされ、このバンドはどこまでも突き進んでいけると確信しました。
チャートを見る >>
高橋 美穂
BEST CHART 2021
-
時代を映す鏡のような、それでいて揺るがぬ強さを発揮するようなポップ・アーティストを求めたこと。女性アーティストのしなやかさやたくましさが際立っていたこと。そんななかでも、やっぱりロック・バンドが最高! と思える強者たちがいてくれたこと。素直に書いたラインナップから見えてきたのは、そういうこと。Maika Loubtéは音楽も素敵で、どこか夢見心地に、場所や時空を旅する気分を満たしてくれたけれど、これはベスト・ディスクの傾向にも表れていると思う。MVは執筆のために何度も鑑賞した3本で、結局これらを越えるものが見当たらなかった。個人的に“Reunion TOUR 2021”は、コロナ禍になって、地元の仙台に引っ越して、初めてのライヴがこれって、運命的すぎるでしょ!? という感激も込めて。
チャートを見る >>
中尾 佳奈
BEST CHART 2021
-
2021年は、未だ制限が多いなかで張り詰めた緊張感を和らげるリラックスした楽曲と、日々抱える不安も吹き飛ばすファンキーでダンサブルな楽曲を、よく聴いていたように思います。ベスト・ディスクは、そんな気分を落ち着けたいときと上げたいときというふたつの視点から選出しました。マハラージャンやeill、YONA YONA WEEKENDERS、Kroiといった自分の推しアーティストが続々とメジャー・デビューを果たし、個人的に“アツい”年となった2021年。中でもTVアニメ“東京リベンジャーズ”ED主題歌をはじめ、多くのタイアップでよりいっそう存在感を放ったeillをベスト・ニューカマーに。ベスト・ソングには、“おかしなこの世に愛を”という希望を込めDENIMSの「AIWO」を選ばせていただきました。
チャートを見る >>
秦 理絵
BEST CHART 2021
-
少しずつライヴのある日常を取り戻してきたことが本当に嬉しかった。ロック・バンドに救われた。そんな2021年でした。というわけで、ベスト・ディスクは全部ロック・バンドです。どの作品もコロナの影響を少なからず受けてはいるけれど、どうせコロナがなくても人生は山あり谷あり。どんな時代にも人生に寄り添える作品ばかりだと思います。ベスト・ライヴはLACCO TOWERが1年越しに開催した主催イベント“I ROCKS 20&21”。4月頃と言えば、まだライヴへの規制も厳しいタイミングでしたが、できる限りの対策を練って臨んだライヴに勇気を貰いました。ニューカマーのHalf time OldはSkream!では2016年から追いかけているバンドですが、メジャー進出をした今こそ聴いてもらいたい、という願いを込めて。
チャートを見る >>
蜂須賀 ちなみ
BEST CHART 2021
-
シーンの総括ではなく個人の総括になりますが(と言いつつシーンの話も若干入ります)、VTuberの音楽に対して面白いと思うことが多かった1年でした。ボカロの曲をカラオケで当たり前に(人力で)歌っていた世代の歌の規格外ぶりに驚きつつ、それがひとつのスタンダードに、そして時代になり始めているのかなとも。また、総尺が短め=曲数少なめのアルバムを好んで聴いていた2020年以前に対して、今回ベスト・ディスクに選んだアルバムのうち半分は13曲以上(最多はクリープハイプの15曲)。これに関してはまだ十分に考察できていませんが、自分がそういうものばかり選んだというよりかはそもそもそういうリリースが多く、コロナ禍で蓄えた力をアウトプットしたような作品が多かったからなんじゃないかと想像しています。
チャートを見る >>
三木 あゆみ
BEST CHART 2021
-
2021年、堅苦しい気持ちで過ごす時間も2020年に引き続きありましたが、いろんなことをもっとシンプルに考えて純粋に楽しんでみたり、初心にかえって自分の“好き”をオープンにしてみたり、そういうことがすごく大切だなと感じることが幾度もありました。それは、アーティストのアイデンティティが存分に発揮された作品に、よりたくさん触れた1年だったからかもしれません。そういう作品が自然と多くなった年だったのかなと感じます。アーティストそれぞれの音楽に対する矜持が見えるような作品、ピュアに音楽を楽しんでいるのが伝わる作品に惹かれることが多かったですし、コロナ禍を経て様々な思考を辿って生み出された2021年の音楽の多数は、何年経っても意義のある、音楽シーンの貴重な財産となるのではないかと思っています。
チャートを見る >>
宮﨑 大樹
BEST CHART 2021
-
非日常が日常に取って代わってからだいぶ日が経ったが、長すぎる冬の時代が依然として続いている。必然的に、解散や卒業など出会いよりも別れのほうが圧倒的に多い1年だった。シーンの様相もだいぶ変わってきた印象で、残念なことに今年も引き続き悪いニュースを耳にしそうな予感。推しは推せるうちに推してほしい、ネバーランドはないのだから。そんななかでも、新たなアーティストが生まれ続けていることに一筋の光を感じていた。なんとか音楽の火は絶やさずに、年を越せたと言えるのではないだろうか。年間ベストは仕事で関わったものを中心にセレクト。ベスト・アーティストには、約8年間の活動に終止符を打ったDESURABBITSを選出した。私自身の人生に良くも悪くも影響を与えてくれたグループへの“ありがとう”の言葉で本稿を締めたい。
チャートを見る >>
吉羽 さおり
BEST CHART 2021
-
2021年もコロナ禍での生活が続いているけれど、そのなかでもアーティストそれぞれ創意工夫をした有観客、無観客ライヴが開催され、作品もまたエネルギーを爆発させる、高揚感のあるものが印象に残った(ベスト・アルバムは順位なしのアルファベット順)。ライヴでは感動的だった有観客の公演を選んだが、GORILLAZの“Song Machine Live From Kong”や藤井 風のピアノ1台をグラウンドの真ん中に置いた日産スタジアムでの無観客配信ライヴも時代とともに記憶に刻まれると思う。アートワークで選んだACIDMANは一見真っ白でシンプルなものだが、素材感があって触れるたびにそこに汚れやしわ、なじみが出てくるもの。ストリーミングなどが主流になった時代で、フィジカルならではの手に取る喜びや内容ともに“生命”を感じる良品だ。
チャートを見る >>