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INTERVIEW

Japanese

akugi

2021年07月号掲載

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メンバー:marikoyu(言葉) まるあうま(踊り) nainotokanon(踊り)
コドモメンタルINC.代表:今村 伸秀
インタビュアー:吉羽 さおり

-星歴13夜は今年に入ってからは、グループ的に大変な感じでもありましたよね。活動をお休みするメンバーや脱退もあって。

今村:そうなる前だったのかな。とはいえグループはいつだって大変だし、私は星歴1本で頑張りますと言うのかなと思っていたんですけど。

まるあうま:大前提として星歴13夜が一番、というか、軸にはあるんですけど。活動をしているなかでも、何かフラストレーションみたいなものはずっと抱えていたんです。自分自身が成長するためにこのakugiになることを決めたのもあるんですけど。akugiの活動を通して成長したところを、星歴に返すのができたらいいなっていう思いがありました。

-その決断は早かったんですか?

まるあうま:はい、早かったと思います。

今村:早かったので、驚きましたね。最初の曲「r u serious? feat. ヤマコマロ」のフィーチャリングのヤマコマロも、まだその時点では、KAQRIYOTERRORにカムバックすることは決まっていなかったんですよ(※2019年5月に改名前の幽世テロルArchitectを脱退し、2021年1月に再加入した)。なんなら、これを足がかりに音楽の世界に戻ってくるのがいいかなと思っていて、marikoyuにもそう伝えていたんですよね。そしたら、マロ(ヤマコマロ)はこれがすげぇ楽しかったみたいで。

marikoyu:言ってました(笑)。最初に"ヤマコマロとやるよ"って言われたときは、フィーチャリングでの参加だと思ってなかったんです。本人も、自分もakugiのメンバーだと思っていたみたいで。

今村:そうだったんだ。

marikoyu:あとで、"メンバーじゃないんですか!?"って、ショック受けてました。でも、久しぶりに歌声を聴いたなって思って、新鮮でしたね。

-「r u serious? feat. ヤマコマロ」は曲も最高にかっこいいですよね。

marikoyu:いいクオリティだと思います。

-まずこの曲が公開されて"なんだこれは!?"っていうのはありましたけど。

marikoyu:最初に曲を公開したときは、フィーチャリングがヤマコマロというのだけ書いてあって、アー写もないし、akugiのメンバーが誰かは明かされていなくて。聴いてくれた人はみんな、どの子だろうっていうのを予想しあっていて、面白いなと思いました。そう言われているってことは、私結構いろんな声を出せるんだなと。

-そのくらい新たな表現になっていますよね。サウンド面に関しても、ダンス・ミュージックを中心に、それぞれの曲でこれが面白い、これがかっこいいを追求している振り切った感じがある。

今村:akugiは音楽的なところではブラック・ミュージック的なものだったり、「r u serious? feat. ヤマコマロ」はダブステップで、KAQRIYOTERRORでもちょっと取り入れていたりとかはするんですけど。アルバム全曲通して、こういうサウンドみたいなのは今までないんですよね。そういうのも面白いなと思って。といっても、これは僕が特にそう発注したわけではないんです。常にデモは集めているので、それをキュレーションする感覚なんですよね。「r u serious? feat. ヤマコマロ」も最初は、"この曲、誰がやれるんだろう?"みたいなところもあったんですけど、生かせて良かったなと思います。

-「addict feat. もとちか襲」などもそうですね。こういう日本の畑にはあまりなさそうなダンス・ミュージックを、しかもコドモメンタルでやるかと言われると疑問符はつくかもしれない。でも、それを、思い切りやっちゃうんだっていう。

今村:そうなんですよね、僕もsyva君も和樹も基本ベースは洋楽にあるので。これはたしか、syva君から12月30日か31日にデモが来たんですよ。

-syvaさん、何か年末に出し切ったんでしょうね(笑)。この曲の振付はどんな感じになっているんですか?

nainotokanon:「addict feat. もとちか襲」は全編、英語詞じゃないですか。とりあえずmarikoyuさんに"これはどういう曲?"っていうのを聞いて。ただ全部を歌詞に沿った動きにするのは面白くないなと思ったんです。akugiは、"音"が気持ちいいから、音に振りをはめたいなと。音を重視して振付を考えた曲ですね。アイドルや、女性アーティストだと、歌詞に沿った動きや仕草が入ったり、バックの音は無視をして、同じような振りを繰り返したりするグループをよく見るんですけど──

今村:ディスってんの(笑)?

marikoyu:うん、ディスってるね。

nainotokanon:ディスってないです! えぇと、キャッチーで、真似しやすい振付が多いなって思うんですけど。この曲はキャッチーである意味はないのかなって思って。それまで振付していて、まるあうまさんをずっと見ていたんですけど、いろいろできるなって感じたので、すっごく刻んだ、動きのある振りになってます。いつもまるあうまさんに振付を渡すと"無理だよ!"って言われるんですけど、その日のうちに覚えちゃうんですよね。だから、私としてもまるあうまさんをちょっと苦戦させたいなって。

まるあうま:えぇ~。

-あえて、これはどうだと仕掛けるんですね。

今村:それはコドモメンタル内でもめっちゃあるんですよ。

nainotokanon:毎曲毎曲、限界突破したいなっていうのがあります。でも、プライベートの日にまるあうまさんから"nainotokanon、筋トレどんな感じでしてる?"ってLINEが来たりするので、めちゃくちゃストイックで熱心だなと思ったんです。それを振付で返していきたいなって思っていて(笑)。

まるあうま:(笑)振りを覚えるのが早いと言ってもらえるんですけど、全然そんなことはないんですよ。同じ振りを何十、何百と繰り返して身体に染み込ませて。そこからまずはゆっくり踊ってみて、次は......というのを全曲でやっていってるんですよ。まさかnainotokanonの手の平で踊らされていたとは思わなかったから、今びっくりしてます。

nainotokanon:nainotokanon側も、できることだけやっていてもつまらないから。自分も挑戦するくらいの勢いの振付を作ってます。

-marikoyuさんもakugiならではの歌の感覚、ラップやフロウの感覚を掴んでいく作業がありそうですね。

marikoyu:グループにいると、1曲でこれほど長くひとりで歌うことはないんです。曲を覚えるのは聴いていたら染み込んでくるんですけど、実際に歌ってみると息継ぎできないじゃんとか、そういうことがどんどんわかって。毎回、レコーディングで苦戦するんですけど、一番難しかったのは、「Period feat. メイユイメイ」でした。これは社長も一番悩んでいた曲でしたね。

-これは社長である今村さんが作曲クレジットに入っていますね。

今村:今回のミニ・アルバムでは3曲をやっているんですけど。かわいそうだなと思うのが、僕はもともとヴォーカリストだしクセもあるし、メロディの部分もラップにしても、90年代くらいから今までいろんな音楽などをずっと聴いてきている。だから、あらゆるフロウがバックボーンとしてあるんですよね。本来ならラッパーは自分のリリックがあって、自分のフロウがあるじゃないですか。なんだけど、akugiではフロウやメロの形が曲によって全然違うから、marikoyuはかわいそうだなって思うんです。でも、作っていると面白い、アヴァンギャルドなものにしたいから、どんどんそうなっていっちゃう(笑)。その曲によって違う形を、akugiでは涼しい顔をして楽しくやるっていうのが面白いなと思っているから。ほんとごめんねって思う(笑)。

marikoyu:中でも「Period feat. メイユイメイ」はかなり時間がかかりました。

-「Period feat. メイユイメイ」はトラックの流れが面白くて、浮遊感のある前半から、一転してダーク・ファンタジーに突入していくカオスぶりが楽しめます。このトラックメイカーが、HyperVideo2さんですね。

今村:HyperVideo2とエージェント契約をして、初めて彼から来たトラックがこれだったんです。彼と初めてやる仕事がこの曲だったんですよね。これも細かな発注をしたというものじゃなく、彼が送ってきたものをそのまま受け入れたという感じなんですけど。実際にやってみたら難しかったですね。1回録ったものがあまり気に入らなくて。僕の中でのイメージは、現代版の「天城越え」(石川さゆり)をCharaみたいなヴォーカリストが歌う感じだったんですよ。

-すごいマッシュアップです。

今村:でしょ。自分で作ったけど、僕もわけわからなくなってたんです。長年一緒にやっている和樹(水谷和樹)と録り直したんですけど、説明しても、和樹も"......噛み砕きます"みたいな感じで。最終わかったか、わかってないか自分でもわからないですけど、こんな感じですかねっていうのが正解でした。みんなそんなふうに頑張ってくれて、すごく象徴的な1曲かなと思いますね。

-全員がクリエイティヴに取り組んでいるのがわかりますね。同じくHyperVideo2さんの「with u feat. セツナウイネ」は、またまったく違ったメロウな曲ですね。

marikoyu:歌詞は遊んでいる感じですけど、すごく優しい曲ですよね。この曲ではメロディっぽいラップのパートがあるんですけど、ここのテンション感がなかなか掴めなくて苦戦しました。逆に長いラップ・パートは、完成したものを聴いたら、最初から最後まで一発録りしたものが使われていたんです。いくつかに区切って録ったテイクもあったんですけど、めっちゃ息が足りてない感じの一発で録った長いラップが使われていて。レコーディングをしてくれた和樹さんも"これがいい"って言っていたので、"あぁ、そうなんだ"って思った曲でした。