Japanese
GO TO THE BEDS
2021年01月号掲載
Member:ヤママチミキ ユメノユア キャン・GP・マイカ ココ・パーティン・ココ ユイ・ガ・ドクソン
Interviewer:宮﨑 大樹
もっともっと今までより心の近いところにいたい
-ここからは新曲について。EP1曲目の「マジ神」ですけど、最初の部分、アレはなんなのでしょうか?
一同:(笑)
ユア:"キラキラランデブー"です(笑)。
-EPのど頭でいきなりある意味でひとつの山場が来るという。
ユア:再生ボタンを押すじゃないですか? もう、ビックリですよ。"あれ? 間違えたかな?"って。
-思いましたよ。データで音源を貰って、"あぁ、送るデータ間違えたんだな"って。
ユア:(笑)GO TO THE BEDSからのサプライズです。私の声ってわかりました?
-そうだろうなとは思いつつ、確証は持てませんでしたね。
ドクソン:わりと初期のユアピッピを思い出させませんか?
-あぁ、「Happy Lucky Kirakira Lucky」(2015年リリースのGANG PARADE (当時のグループ名はPOP)の1stシングル表題曲)とか。
ユア:松隈(ケンタ/サウンド・プロデューサー)さんに"ユアはかわいい声しとったけん。忘れてた忘れてた"と言われて。
ミキ:最初のキャラはそんな感じだったからね。ギャンパレの後半は荒れてた(笑)。
-(笑)それ以降はヘヴィで勢いのあるサウンドで、GO TO THE BEDSの軸となる音楽性というイメージがついてきている気もします。
ミキ:レコーディングしていて、歌っていて、しっくり来るというか。自分で歌っているときも思うんですけど、メンバーが録っているのを聴いてもそれを思います。
ユア:自分の好きなジャンルの曲に近いので、自分たちの曲を普段からより聴くようになりました。そういう意味では自分の曲に対する向き合い方が、ギャンパレのときとはまた変わって、より深くなっている感じはありますね。
-ゲーム"マジカミ"のタイアップ曲で、タイトルもそれを意識したものになっているし、ゲームっぽい歌詞になっているけど、GO TO THE BEDSの歌詞にもしっかりとなっていて。"I wanna try"、"立ち向かうんだ"、"もう死んでない"など、作詞した渡辺さんからの想いがなんとなく伝わってくる気がしました。
ユア:一転して、嬉しかったです。これまでは"死ね、死ね、諦めろ"みたいな感じだったし、現状の私たちがそこから脱しているとは思っていないですけど、タイアップの曲とはいえ私たちに向けて書いてくれた曲なので、そのなかで"もう死んでない"というフレーズが入っているだけですごく心が救われたというか。「現状間違いなくGO TO THE BEDS」が来たときは、逆に諦めたほうがいいのかなというくらい落ち込んでいたんです。でもやっぱりそうじゃなくて、もっと闘わないといけないんだと、この曲が来て思わせてもらったので、GO TO THE BEDSで頑張らなきゃって。渡辺さんに支えられたというか、もっと頑張ろうと素直に思いました。
ココ:おっしゃっていただいたようにゲームの曲なんですけど、私たちがこれから歌っていくうえで、すごくマッチしているというか、そこがすごいなと思って。死生観みたいなものがGO TO THE BEDSにはあるんです。それこそ"死ね、死ね、諦めろ"みたいな歌詞が多いんですけど、その中でも"死んでない"というサビのワードは自分の中では支えられたというか。現状から脱していないけど、一歩を踏み出すことはまだできるんだな、そこをしないといけないんだなというのを感じました。すごく嬉しかったし、もっと期待に応えられるように頑張りたいとも思ったし、曲もすごく好きで、たくさん聴いています。
ドクソン:コロナ禍で生きる人に向けた歌詞でもあるのかなと思いました。今は、ひとりでしんどい人がたぶん多いから、そういう人へ今自分たちから届けたいメッセージにフィットしていて。そういうのが伝えられるのが音楽で、歌えて嬉しいです。
-「If I die」はミキさんが作詞をしていますね。前のアルバム『GO TO THE BEDS』の「MISSING」と「VILLAIN」では"生と死"をテーマにしていましたけど、今回も"If I die"というタイトルで。
ミキ:死んでますね(笑)。
-楽器の手数が多くてノリのいい曲ですけど、デモからどんな印象を受けてこの歌詞を書いていったんですか?
ミキ:後ろの2曲(「SECRET MESSAGE」と「Rebirth」)が明るくて、希望に満ち溢れてる感じだなぁと思ったんですけど、その中にこの曲が入るとなったら、そんなにポジティヴ感が見えないなというところから入って。そのときの自分への気持ちとか自分の感情を書いたんです。Bメロ部分が特にそれが強くて。"自尊心なんて害"は"私の自尊心なんて害"ということなんです。自分がわりとネガティヴ期だったときに書いているので、そんなの(自尊心)があったらこの先絶対に上手くいかないよと思っていました。"死んだら"というのは、私の中で"GO TO THE BEDSをやめたら"という言い換えなんです。もし私がやめたらどうなるんだろうというときに、羽目を外して楽しんだとしても、最終的にはきっとおもしろくなくなっちゃうんだろうなと。それが"死んだらやめよう 羽目を外して/踊り狂おう 陰気臭いな"という部分です。自分をぶん殴っている曲ですね。
-なるほど。
ミキ:Bメロの"イキがってんな"の部分はマイカが歌っているんですけど、完成した音源を聴いたら、そこがマイカなのが自分的に良くて。すごく刺さると思いました。そこが自分じゃないのにホッとしたというか、私が歌っていたら、この歌詞の伝えたいものが伝わらなくなっちゃうと感じていたので、そこがマイカなのが嬉しかったんです。
-"生と死"というよりは、"GO TO THE BEDSをやめたら"という歌詞。
ミキ:(GO TO THE BEDSをやめたら)死んだも同然だな、という感覚だったので、それを書きました。
ココ:この仕事をやめることを"死ぬ"と表現していることがすごく納得できるんですよ。アイドルって、第2の人格というか、もうひとりの自分じゃないですか。本名の自分とは別に、ココ・パーティン・ココという自分がいて。私は、この仕事をやめるということは、その子が死ぬことだと思っているんです。自分がアイドル好きだったときのことを考えてみても、その子がアイドルをやめるときって、本当に死と同然だと捉えていたんですよ。自分がアイドルになってみてもその感じは変わってなくて。そういう意味では"死ぬ"という表現から、"死んだら"どうなるんだろうという、この曲の解釈をミキちゃんから聞いて、なるほど、わかる、みたいに感じました。みんなこの人生を全力でやっているから、それがなくなったときに味気なくなっちゃうのかなと。だからこそ今を一生懸命、死なないように、頑張るぞという自分への期待もありつつ、という感じなのかなと思ったんですけど......どうですか?
-いや、もう......みなさん死なないでください。
一同:(笑)
ココ:そうなんですよ。みんな死にたくなくて、今一生懸命やっている感じが出ているなと思って。死なないように、頑張りたいよねっていう。
ミキ:頑張りたいね。
-続く「SECRET MESSAGE」もミキさんの作詞です。どこがと言われると難しいんですけど、内に秘めた奥ゆかしさと強い意志が"ミキさんの歌詞"だなぁという感じがして。
ミキ:"マジカミ"のエンディングと聞いていたので、ゲームのエンディング感を出したいというのは第一にあって。"マジカミ"はいわゆるギャルゲーみたいなもので、イメージはすごくしやすかったです。自分が主人公の男の子になったらというのを想像して、その男の子のゲームの中の人生を描こうと思って書きました。なので、自分と重なる部分もあったというか、なんとなくそういう感じは入れています。エンディングなので、希望を持っていたいというか、未来が見えるほうがエンディングっぽいなと思ったので、Bメロからサビは希望や未来が見えるように、そういう歌詞にしたいなと思って書きました。
-EPの前半4曲でわりと激しい曲が続くんですけど、これはきれいでエモーショナルな曲で。ゴリゴリな曲もGO TO THE BEDSらしいんですけど、みなさんひとりひとりの生き様や歩んできた歴史で、みなさん自身からエモさが出ているからこそ、こういう曲との相性もとても良く感じています。
ココ:こういうメッセージ性の強い曲を歌えるアイドルというのはあんまりいないというか。後輩たちも増えてきたんですけど、キャリアの長さとか、そういうものがあるからこそ歌える部分もあると思っているし、そういうのが響いてくれる人は一定数いると思うんです。フレッシュな部分もアイドルのいいところだと思うけど、自分たちはこういうメッセージ性が深いところだったり、泥臭いけど寄り添えたり、共感性があるものを歌えるんじゃないかと。自分たちはそういうところを強みにしないといけないんだなというのを、もう1回、改めて感じさせられたというか。
-ラストの「Rebirth」はとても開けたサウンドでEPを締めくくります。ユアさんの作詞ですが、曲の印象はどうでした?
ユア:壮大なイメージがすごくありました。お花畑じゃないけど、建物がいっぱいある都会というよりは、大地の感じで。天を見上げているような第一印象だったので、そこから歌詞を書いていきました。テーマは"生きること"で。この自粛期間に自分自身の命についてすごく考えていたんです。アイドルという自分の命もそうだし、そうではない部分の自分の命についても考えていて。私以外の今まで感じなかった人もより身近に生と死を感じられるようになったのかなとは思って。
-はい。
ユア:そのなかで、病気で亡くなることもそうだけど、病気があることによってそれ以外の部分で死を選択する人があまりに増えてしまったなとも思っていて。いろんなアーティストさんや俳優さんもそうだけど、それって報道されているのはほんの一部だし、名の知られていない人だったり、一般の人だったり、たくさんの人が死を選ぶことになってしまっているように感じていました。でも、その感覚は自分にもわかるから、そういうふうに思ったときに聴いてほしいというか、何か音楽で届けられることがまだあるんじゃないかなと思って、この曲を書きました。
-生きることは難しいけど悪いものじゃない、と伝えたい意志があるように思えて。
ユア:そう思えたらいいな、という感じですね。自分が死に直面したりとか、本当に死のうと思ったりした瞬間にふとこの曲を聴いて、もう1日、あと1時間でもいいから生きてみようと思って、自分の中の世界に対する価値観が変わったらいいなと。生きてほしいなと思って書きました。
-生きるということが作品のキーワードですね。
ドクソン:前のアルバムではどちらかと言うと、死を語るというか、死の世界をイメージしたんです。ゾンビになったし。でも今回は生(せい)。この時代だからみんなの心も同じになったのか、ユアピッピの歌詞も、ミキちゃんの歌詞も、渡辺さんの歌詞もそれを感じさせます。死が近いからこその生の温かみ。GO TO THE BEDSでは、今までも誰かしらの楽しみや、希望のひとつになりたいと思って活動してきたけど、それがコロナになってより濃くなったというか。もっともっと今までより心の近いところにいたい。このEPはそういう想いで歌いました。心の近いところにGO TO THE BEDSで行きたいと思った1枚です。今って、どれだけ支えがあっても足りないと思うんです。"誰かの何かしらの力になれたら"、そういう想いを込めて完成した作品になります。
ココ:"REINCARNATION"というものにマッチしている曲が多いというか、死を経験して次の一歩に向かう作品です。今の世界もそうだと思うんです。死んでから進もうとしているじゃないですか。そういう意味で寄り添って一緒にスタートしたい。生きるという部分がテーマになるので、重い感じはあるんですけど、その中でも前向きな気持ちもあるし、頑張ろうぜという気持ちはあります。
-今日はありがとうございました。2021年もどうか生きていてください。
一同:生きます!
ドクソン:読者のみなさんも生きていてください!
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