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INTERVIEW

Japanese

butterfly inthe stomach

2021年01月号掲載

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Member:小野 雄一郎(Vo/Gt) 中江 太郎(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

配信ライヴは聴感上でめちゃくちゃリアルに伝わるから、ちゃんとしたクオリティは固めていかないとダメだなって


-本音も出ましたが(笑)。あと、バタストの音楽はライヴでも映えそうだなっていうのも思いました。おっしゃっていただいたように歌が真ん中にあって、キャッチーな軽やかさもあって、コーラスなどで彩られているのが印象的で。それこそ"ALPEX FESTIVAL2019"でも2度のライヴ審査を勝ち抜いたわけですし。おふたりがライヴで大切にしていることってあったりしますか?

中江:僕はもともとバンドをやりたくて東京に出てきたわけじゃなくて、スタジオ・ミュージシャンとかをやりたかったんで、ライヴでも"対お客さん"っていうよりは、看板の歌い手や、一緒に音を出すミュージシャンの満足度、クオリティが大事だったんですよ。そこからバタストでライヴやるぞってなったときに、ドラム・セットを前に出して、すぐ前にお客さんがいて、"これシンバルうるさくないのかな?"とか、すごく気を使ったところから始めて。でも、どっかのタイミングで"ふたりでやるっていいな"とギアが入った瞬間がたぶんあって、それ以降は、お客さんに対して自分が見せられるものはなんだろうって考えるようになりました。楽しんでもらえることってなんだろうなとか、ヴォーカルの人はこういうことを意識してやってんのかなと思うところに、寄ったりするようになったんです。あと、バタスト以外にも弾き語りの人の後ろでパーカッションを叩いたり、ふたりの編成をたまにやったりするんですけど、なかなかその編成で華がある人いないよなって感じるんで、そのへんはさすがだなという感覚は年々あるなと。

小野:ふふふ(笑)。

中江:でも、楽しくさせるにはどうしたらいいんだろうみたいなのを、委ねるんじゃなくて、自分も考えるようになったかな。

-バタストのメンバーとしての、自分の見せ方を意識するようになったと。

中江:そうですね。他の現場に行ってそういうスイッチが入ることあまりないんで。

-そこは、バタストは自分のバンドだっていう思いからなんですかね。

中江:はい。そういう意識が強いんだと思います。

-話が前後してしまうんですが、そもそもスタジオ・ミュージシャンをやろうと活動していた太郎さんが、バタストで正式なメンバーとしてバンドをやろうって思えたのはどうしてだったんですか?

中江:"これからどう活動していこっかな?"っていうのが先ではあったんですけど、バンドをやるんだったら"やりたいな"と思う人とやりたいって考えてました。(バタストについては)前の編成のときの音楽をそこまで聴いてたわけではなくって、僕がサポートしてたバンドの対バンで一緒になったときに、打ち上げでそれこそイエモンの話をした印象があったんです。(小野は)キリッとした音楽をやってたけど、すごくフワッとしてて。

小野:(笑)

中江:"あぁ、この人、いい人だなぁ"って思ったんですけど、そっから別に連絡取るとかはなくて。でも、メンバーが抜けちゃうっていう情報が入ってきたときに、"ちょっと言ってみようかな"と。

-へぇ~、そのときのいい印象が残ってたんですね。

中江:そうですね。考えて言ったっていうよりは、言ってみたみたいな感じでした。

-話を戻しまして、小野さんはライヴではどういうところを意識していますか?

小野:うまく歌いたいっていう。今そこに意識が本当にいってて。もちろん楽しませたいとかライヴ感とかどこまで自分が上がれるかとかはあるんですけど、僕はずっとバンドマンをやってるんで、ライヴでSE鳴ってステージに入ったときに変身じゃないですけど、全然違う感じになるんですよね。そうなるといろんなことがどうでもよくなるって言い方は悪いんですけど、それどころじゃなくなる。ガーッっていきたくなるというか。そのなかで"うまく歌え"、"(観客に)いい歌聴かせろ"って気持ちが去年とかから特に強くなりました。ファンがどう感じるかはわかんないですけど、自分はうまく歌えたなと思えるように持ち時間やりきりたいなって。

-それは、気持ちをうまく乗せられるかとかですか。

小野:はい。

中江:今年リアルだよね。配信とかさぁ。

-あぁ、お客さんが見えないし、視聴者も目の前で鳴る音を聴くのじゃないですもんね。

中江:そうですね。やっぱりマイクに乗った音、ドラムも、打ち損じとかも普段のライヴだったら流れちゃうから。

-たしかに。

中江:聴感上でめちゃくちゃリアルに伝わるから、ちゃんとしなきゃみたいな。ちゃんとしなきゃってずっと考えてやってるわけじゃないけど、人のを観てても自分でやっても、ちゃんとしたクオリティは固めていかないとダメだなって改めて思ったかも。

-それは観ている側としても発見だったかもしれないですね。そして、そんなライヴで勝ち取った"ALPEX FESTIVAL2019"優勝特典で、ALPEXの商品PVを制作されました。今回のPVの楽曲は「ベイビー・アイラヴュー」でしたが、この曲自体は以前からあったものですよね。2018年のライヴCD(『butterfly inthe stomach /GIGS -over the shunraichitai-』)にライヴ音源は収録されていて。

中江:あれが初披露じゃない?

小野:そうかも。2年前ですね。いろいろ新しいことに挑戦してみたいなというタイミングで、EDMがちょっと流行ってたんで、ずっとリフレインする曲を作ってみようと。あとコードもずっとループでっていうルールで作ってみた曲でした。

-そうですよね。それまでの曲の元気で溌剌とした印象とはちょっと違いました。

小野:ちょっと大人な(笑)。もともと2人組になってからメジャー・コードしか使わないっていうルールもあって。"もう切なさとか憂いとか、1回いいだろ。メジャー・セブンなんて"って感じだったんですけど。

中江:(「ベイビー・アイラヴュー」は)めっちゃメジャー・セブンだね。

小野:もうずーっとメジャー・セブン。

-(笑)

小野:もともと好きなんですけど、やってこなかったことに挑戦してみようかなっていう感じでした。

-PVバージョンの音源はカッティング交じりのギターのイントロから始まりますが、個人的には岡村靖幸さんと小出祐介(Base Ball Bear/Vo/Gt)さんのコラボ曲「愛はおしゃれじゃない」をちょっと彷彿としました。

小野:おぉー! もう、すごく影響を受けてると思います。

-先ほども90年代の音楽が好きっておっしゃってましたけど、その90年代っぽい雰囲気や、ロマンチックなコードとか、色っぽくてメロウな印象とか。

小野:岡村ちゃん大好きです。あー、ありがとうございます。すげぇ感知していただいて。

-この曲を今回のPV制作の曲にしようというのはALPEXサイドと決めていったんですか?

小野:まず、監督と染谷さんからどういう感じの映像にしたいかってお話を聞いて、モデルのおしげちゃんもお会いしてるんで、そのへんも全部考慮して。あと、まだ盤に音源化されてない曲がファンにとって嬉しいと思うんで、いいなぁと。そうしてあの曲になった感じです。

-タイトル通りラヴ・ソングですが、曲を作ったときはどういうイメージで作っていったんですか?

小野:チャレンジ(ザ・チャレンジ)で、歌ってみた動画みたいなのをやろうっていうタイミングがあったんですね。チャレンジに関してはがっつりヴォーカリストとして立ってるんで、(ファンが)いろんな歌を聴きたいんじゃないかとお達しがありまして。"やってみます"ってやったらですね、"ラヴ・ソングってすげぇな"というふうに思ったんです。弾き語りとか、全然それまで行ったことなかったんですけど、カラオケにひとりで行って歌うとかしていくなかで、どれだけこの曲にいろんな恋が生まれては消えしてるんだろうと。ミスチル(Mr.Children)の曲歌いながら、"あぁこの曲聴いて励まされた男が何人いるんだろう"とか、スピッツ聴いて元カノ、元カレを思い出してる人が何人いるんだろうとか、考えだしたら泣けてきちゃって。"ラヴ・ソングってすごいね"って曲を作ろうと思ったのがきっかけです。

-聴き手が感情を乗せられる曲を作ろうと。この曲はシンセサイザーも入ってますよね。

小野:入ってます。

-他の楽器を取り入れるっていうのはそれまでもしてたんですか?

中江:そのときはコンセプト的に入れちゃったよね。

小野:歌から始まってここにこの音を入れようっていうよりは、こんなシンセがずっと鳴ってる曲が作ってみたいと、そっち発信でした。