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INTERVIEW

Japanese

Nothing's Carved In Stone

2020年09月号掲載

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Member:村松 拓(Vo/Gt) 生形 真一(Gt)

Interviewer:荒金 良介

曲作りやツアーを重ねて、バンドが上るべき階段を1段ずつ上がってきたから、自分たちで更新してきたものを表現しようと


-原曲と聴き比べましたが、これまで培ってきた肉体性が如実に表れたカバーで、どの曲も凄まじく聴き応えがありました。

生形:スタジオやエンジニアさんも違いますからね。

-音も抜群にいいですね!

生形:ですよね。自分たちが使いたいスタジオ、好きなエンジニアさんにお願いしてます。

-特に、「Isolation」は驚くほど演奏も音質も迫力が増してます。

生形:まぁ、11年前の曲ですからね。

-全体的に音の分離が格段に良くなっているし、各楽器が何をやっているのかがはっきりわかるサウンドで。

生形:そうですね。以前は音圧はあるんだけど、全部の音をひとつの塊にしていたので。今回は真逆で細かいフレーズのニュアンスまで聴こえるから、そこは一番こだわりました。

村松:ヴォーカルに居場所があるのがこんなにありがたいんだなって。

-というのは?

村松:うちは4人でせめぎ合うのが魅力的だし、それを音源で表現していたけど、『Beginning』(2019年5月リリースの9thシングル)から録音環境が変わり、歌のレンジや自分の表現の幅は広がりましたからね。

-某バンドが再録作を出したときに、デビュー時は全員がぶつかり合っていたけど、ライヴを重ねたあとは歌のスペースが最初からちゃんとあるから、ヴォーカルはめちゃくちゃ歌いやすかったと言ってたんですよ。それはナッシングスにも当てはまるのかなと。

生形:あぁ、そうかもしれないですね。

村松:たしかに。ライヴの影響はデカいですよね。お互いの関係性もはっきりしてきたから。

-楽曲のポピュラリティも一段と増した印象を受けます。再録したことで新たな気づきはありました?

生形:ライヴで変わったところは新しいアレンジとして入れてますからね。一番変わったのは「Rendaman」で、後半は原曲と別モノです。それはライヴをやるうちに変わった部分なんですよ。ギター・ソロを変えたところもあるし、そこは楽しめるんじゃないかと。

村松:各々でサウンドのアプローチも変わっているし、ベースの聴こえ方も全然違うと思う。ギターもヴィンテージ・ライクになったもんね?

生形:そうだね。

村松:ヴォーカルに関してはミドルの下あたりの聴こえ方がだいぶ違うんじゃないかな。

-「Rendaman」はMVになってますけど、今作の中では怒りを露にした歌詞ですよね。当時はどんな気持ちで書いたんですか?

村松:自己責任論みたいなものがあって、否定する人も多いけど、俺は好きなんですよね。全部自分次第じゃんと思うほうがシンプルだし。この曲を書いたときはめっちゃ貧乏だったんですよ。自己責任の意味を自分に問うてるときだったんでしょうね。あと、「Around the Clock」は当時歌い切れてない気持ちがあったけど、今回は歌のアプローチがしっくりハマッたことが嬉しくて。

-このアルバム名("Futures")にはどんな思いを託して?

村松:新曲が2曲あるけど、18曲は過去に作ったものじゃないですか。だけど、焼き直したわけじゃなく、もう一度構築し表現した作品なので、それが先に繋がるようにと思って付けました。

-その気持ちはDISC 2の最後に収録された「BLUE SHADOW」が代弁してますよね。しかも、この曲はシングル『Spirit Inspiration』(2012年リリースの3rdシングル)通常盤のみに収録されたカップリング曲です。

生形:セルフ・カバーとはいえ、ベスト的な意味合いもあるので、曲を選んでいたらアップテンポな曲ばかりになっちゃって。それで「Red Light」、「Midnight Train」とかミドルな曲も選んだんですよ。「BLUE SHADOW」はレコーディングが始まってから選んで、ディスク2枚目の最後に入れようと思いました。それは荒金さんが言ったように、これを最後に入れることで意味があると感じたから。

村松:今まで作ったオリジナル・アルバムのスタイルに近いんですよ。だいたい最後にバラードを置いてますからね。

生形:野音公演(2016年開催の"Nothing's Carved In Stone Live at 野音")の本編ラストにこの曲をやったんですけど、その印象を強烈に覚えているんですよ。照明さんがトーチを用意してくれて......自分たちの曲だけど、すごくいい曲だなぁと。歌詞の意味的にもね。

-ええ。"僕らの残した足跡で/どうか君が迷わないように(意訳)"という歌詞は、「Dream in the Dark」にも通じますけど、聴き手に寄り添った内容で元気を貰える人も多いと思います。「BLUE SHADOW」の楽曲自体もずいぶんと表情が変わりましたね。

生形:前はもうちょっと(声を)張ってたもんね?

村松:うん、ちょっと優しい感じになりました。この曲に込めた気持ちです。

-それがまた良かったです。では、今後の予定については?

生形:今年6月に配信ライヴ([Nothing's Carved In Stone Studio Live "Navigator"])をレコーディング・スタジオでやったんですよ。音も格段に良かったから、それと同じ状況でまたやってみたいですね。観てくれた人も喜んでくれたし、俺らも達成感がありましたから。

村松:今までブレずに自分たちなりの表現を貫いてきたから、その延長線上で配信ライヴをやれたことが良かったですね。

生形:俺らの今後のスタンスとしてはライヴハウスを押さえておいて、できるようになったらすぐにライヴをやりたいですね。