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INTERVIEW

Japanese

シュリスペイロフ

 

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Member:宮本 英一(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

-13年に山中さんが主宰する"DELICIOUS LABEL"に移籍して、活動拠点を東京に移してから、14年、15年、16年、17年と年1枚ペースでアルバムをリリースしてきましたが、前作(5thフル・アルバム『聞えた』)から今回の『遊園地は遠い』まで約2年半空きましたね。

僕が実家の苫小牧と東京を行ったり来たりしなきゃいけなくなっちゃって。最初はそんなに大変じゃないと思ってたら結構大変だったんですよ。曲は苫小牧で作るんですけど、東京でスタジオに入るときは、ライヴが迫っているから、"その練習をしなきゃ。新曲は後回しだ"ってやってたらいつの間にか2年半経ってましたね。

-じゃあ、今回は2年半の間に書き溜めた曲の中から10曲選んだんですか?

いえ、最初からあったのは「つまんないね」のリフと「孤立した街」ぐらいだったかな。というのは、それまでパソコンで作っていたのを、前作ぐらいからバンドでセッションしながらという作り方に変えたんですよ。だから、今回も曲の取っ掛かりを持っていって、それをバンドで合わせて、そこからさらに、展開させてっていうやり方で作っていきました。

-バンド感が出ているっていうのは、それも関係しているのかもしれませんね。

そうかもしれないですね。

-歌詞は曲ができあがってからつけるんですか? 

曲を作りながらざっくりとつけて、最後に増やしたり、削ったりしてますね。普段から曲とは関係なしになんとなく思いついた言葉はiPhoneに溜めているので、"この曲にはこれが合うかな"って、そこから使ったりもします。

-わかるような、わからないような、わからないような、わかるようなところが、宮本さんが書く歌詞の魅力だと思うのですが、宮本さんが普段から思っていることを徒然に書き綴っているように思えて、実は作為的なところもあるのかなと思ったりもしました。

例えば、"孤立した街"はメモしていた言葉なんですけど、"孤立した街"という言葉が1個あって、そこからメロディに合う言葉を見つけながら膨らませていく感じですね。昔は起承転結含め、ちゃんと決着をつけるように書いていったんですけど、今は決着をつけなくても、聴き手に委ねるというか、自分もよくわからないけど、響きがいいからみたいな言葉の使いほうのほうが面白いと思っています。

-宮本さんというひとりの人間が日々感じていることから出てくる言葉なので、統一感があるのは当然と言えば当然なのですが、聴きながら全10曲がひとつのストーリーになっているようにも感じられて。

あぁ、そんなに意識してなかったんですけど、「孤立した街」という1個のイメージができて、それに引きずられて大きなイメージができたような気はしますね。ジャケットの写真は、死んでいることに気づかずに遊んでいるお化けみたいなイメージなんです。CDを取ると普段の僕らが映っていて、僕らにはそう見えているけど、ほんとは死んでいるみたいにしたいと言ってデザイナーさんに作ってもらったんですよ。そういう1個のパッケージの中で、意識したわけではないですけど、歌詞を書きながら繋がる部分はありましたね。ひとつの街みたいなところに(ジャケットに映っている)こういう奴らもいて、「ハミングバードちゃん」みたいなちょっと悩んでいる女の子もいてっていう。

-「つまんないね」には"ゾンビな僕"も出てきますね。

それは僕自身のことなんです。東京にいると曲を作ったり、歌詞を書いたりする以外特にやることがないんですよ。だから、昼間からビール片手に街をぶらぶら歩きながら曲や歌詞を考えたりするんですけど、歌詞にある通りちょっとゾンビっぽい感じで街に全然馴染んでいない(笑)。人に会うこともないから、髭も伸ばしっぱなしですしね。そんな人間が縁石に座ってビールを飲みながらiPhoneをいじってるんですよ(笑)。

-職質されませでんしたか(笑)?

されなかったですね。自転車の駐車違反を取り締まるおじいちゃんには見られてましたけど、僕は自転車じゃなかったので、大丈夫でした(笑)。

-ほとんどの曲の歌詞に出てくる"僕"と"君"は、男女なんじゃないかと思うのですが、1組の男女の物語にも思えるなと思いながら聴いていました。

あぁ、なるほど。そこは受け手それぞれに楽しんでもらうところですね。

-しかも、その男女は世の中から認められない関係なんじゃないかと。

ははは(笑)。そうですね、「絵と空の事」は結構そんな感じかもしれないです。

-「愛は不健康」の"地獄の恋人"も、そういうことなのかなと思いました。

そうかもしれないです(笑)。でも、最初にメロディが出てきて、そしたらなんとなく"愛は不健康"って言葉が出てきたので、そこからどう転がそうかって書いていったんですよ。

-ところで、いただいた資料に載っている宮本さんのコメントに"今回、今までやってない事に挑戦してます"とありましたが、パワー・コードで作る以外にはどんな挑戦があったのですか?

なかなか言葉では言いづらいんですけど、ずっと自由になりたいって思っていたんですよ。自由にっていうのは自分から解放されたいってことなんですけど、自分が掛けているストップを外せはしないまでも、少しずつ緩めたい。それは今回、特に歌詞はとてもうまくできたと思います。曲に関しても、例えば、「つまんないね」は"こんなことをやっちゃっていいの!?"っていう感じはあったんですけど、結果的にシュリスペイロフっぽくなって、最初、自由になれなかった部分を緩めてあげて、それから、もっと違うところを見られるようになりました。毎回挑戦しているんですけど、今回は違う角度でそれができたという手応えはあります。「feel empty」の最初のフレーズは、スタジオで休憩している時ときに思いついて合わせてみたんですけど、あんまりそういうことしないんですよ。完成したものじゃないと恥ずかしいから、みんなに聴かせたくないんですけど、今回は思いついたからやってみようって。そこも自由になれたところだったような気がします。

-それは以前にも増して自信が出てきたってことですか?

うーん、自信が出てきたって言うよりは、勘違いできるようになってきたってことなのかな。

-勘違いっていうのは?

俺ってかっこ良くない? みたいな勘違いです。昔から思ってたんですけど、勘違いしたほうが楽なんですよ。だから、そういうふうになりたいんですけど、それを俯瞰しちゃう自分もいる(苦笑)。でも、以前よりはそういう勘違いができるようになってきた。だから、今回のアルバム、売れそうだなと思います(笑)。収録曲のタイトルを並べてみても、面白いタイトルを付けられていると自分でも思うし、さっき言ったように言葉も自由になってきているし、これが面白いんだぞと言えるし、みんなもそう言っていいアルバムなんじゃないかな。

-それは勘違いではないと思います。3月1日の福岡公演からリリース・ツアー("遊園地は遠いツアー")が始まりますが、どんなツアーにしたいと考えていますか?

僕ら、わりと曲があるんですけど、最近、澁谷君が"これを見ながらセットリストを作ったらいいんじゃないか"って、曲をタイプ別に分類した表を作ってきて、それを見ながら"結構やっていない曲が多いね"って話になったんです。だから、そういう曲を改めてやってみたいと思っています。今の自分たちに合わせてアレンジも少し変えたりして、東名阪と札幌はワンマンなんですけど、ワンマンの長尺ならそういうこともできるじゃないですか。たぶん、これまでよりも自由に振舞えるようになったシュリスペイロフを、ライヴでも観てもらえると思いますよ。

シュリスペイロフ RELEASE INFORMATION

1. つまんないね
2. 愛は不健康
3. カールフリードリッヒの時間旅行
4. ハミングバードちゃん
5. あそぼ
6. 絵と空の事
7. 孤立した街
8. feel empty
9. 着地
10. Daydream old dog