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INTERVIEW

Overseas

CHON

2019年08月号掲載

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Member:Mario Camarena(Gt)

Interviewer:菅谷 透

今回は大半がギターとベースとドラムだけで、CHONのコアな部分を代表する作品になったと思う


-ここからはニュー・アルバム『Chon』についてうかがっていきます。日本では"フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL '19)"の直前にリリースされますが、アメリカでは6月に発売されていますね。アルバムがリリースされた今の気持ちを教えていただけますか?

ようやくリリースされて、とてもハッピーだよ。完成したのは発売の3ヶ月くらい前だったから、発売までずっと待っていたんだよね。だからようやく出てとても嬉しいんだ。曲は全部気に入っているし、全員が心血を注いで作ることができた。

-ファンからの反応はいかがでしょうか?

アルバムが出てすぐ全米ツアーをやったんだけど、セットリストに新曲をたくさん入れたんだ。通常だと新曲はふたつか3つくらいしか入れないんだけどね。新曲をやるとオーディエンスの反応があまり良くないし。誰も知らないからみんなじっくり聴いてくれる。つまり静かになってしまって、クレイジーにはならないんだ。でも今回は5、6曲セットリストに入れてみたんだけど、オーディエンスの反応がものすごく良かった。中にはギターとシンガロングしている人たちまでいたよ。

-えっ!

そうなんだ。昔の曲でそうしてくれることは多いけど、新曲でもやってくれてさ。すごくクールだったよ。ハミングみたいにギターのフレーズを口真似して、速弾きのところとかも全部口でやるんだ。すごいよ(笑)。

-(笑)いつごろからアルバムの制作を始めたのでしょうか?

始めたのは去年の10月だね。

-ということは、6ヶ月くらいで作ったということでしょうか。

まぁそうだね。でも12月は曲を書かなかったんだ。ツアーもあったし、ホリデー・シーズンだったから特に何もしなかった。レコーディングは1月には終わって、ミキシングを2月にやったんだ。

-プロセスとしては結構早く終わったんですね。いつも制作はスムーズなのでしょうか?

通常はそうだね、わりと早い。でも今回はそれより少し進度が速かったんだ。というのも、今回はギターのパートを全部僕たちの自宅でやったんだよね。小さなホーム・スタジオを造ったからそこで全部録音したんだ。時間の制約もなかったから好きなときに作業していたんだよね。それに、自宅で作業できるっていうのはとても心地がいいんだ。居心地がいいっていうのは大きいよ。クリエイティヴさを最大限に発揮することができるからね。レコーディングを自宅でできたことで、僕たちのクリエイティヴィティが深まったり、アイディアがより多く出たりしているといいなと思うよ。自宅でできたっていうのがすごくクールだったね。

-今作ではプロデューサーにJavier Reyes(ANIMALS AS LEADERS/Gt)を迎えています。彼を起用した理由を教えていただけますか? また、彼との制作はいかがでしたか?

実は僕たちにとって初めての全米ツアーがANIMALS AS LEADERSとのものだったんだ。彼らが起用してくれてね。Javierとはそうやって出会って、それ以来の知り合いなんだ。とても仲もいい。で、このアルバムの曲を書き始めたころ、Javierとの話題にもそれがよく出てきて、アイディアなんかを彼に送るようになった。そうしたら彼が"一緒に作らせてくれ"って言ってくれたから、"OK"ってことで(笑)。友達だからね。このアルバムのヴィジョンのひとつとして、居心地のいい、"In-house(内輪)"なものを作りたいというのがあったんだ。赤の他人にいろいろ任せるよりも、気心知れた友達で固めたいというのがあった。そうしたら心地よく、楽しく作ることができるからね。

-それが、今回のアルバムの親密な雰囲気に繋がっているのかもしれませんね。

そうだね。間違いなく一部になっていると思う。ミキシングのプロセスの間もずっとJavierにテキスト・メッセージを送っていたし、気軽にアイディアを投げ合えたのが良かったよ。そうやって作ると楽しいし、より良いプロジェクトになる気がする。

-ちなみに今作はセルフ・タイトルのアルバムになっていますが、なぜこのタイトルに決めたのでしょうか? 内輪で作ったことも理由のひとつでしょうか?

そうだね。

-なるほど。アルバムのコンセプトについて、詳しく教えていただけますか?

今回はCHONのコアな部分ということで、こういう形になったんだ。前作ではコラボを多用して、エレクトロニックなドラムを入れたりしていたけど、今回は大半がギターとベースとドラムだけだしね。フィーチャーも使っていない。そういうことで、CHONのコアな部分を代表する作品になったと思う。一度はそうしてみたかったんだよね。そうすれば次は真逆のことをやって、セルフ・タイトル的なことの一切ないクレイジーなことをいろいろできるから(笑)。

-当初はフィーチャリング・アーティストを入れたり、エレクトロな要素を入れたりすることを考えていたのでしょうか。それとも初めからコアな部分のみでいこうと思っていたのですか?

実は、当初はエレクトロな要素を多用しようと思っていたんだ。歌も入れようと考えていたし。でもネタの大半が出てきたところで、全部シンプルに留めておいたほうがいいんじゃないかと思った。クレイジーなやつは別のリリースのためにとっておいてね(笑)。今回はもっとオーガニックなテーマになった気がする。方向性としてはクールだったと思うよ。でも、別の機会にとってあるネタもいっぱいあるんだ。

-ということは、次のアルバムのアイディアもすでにあるんでしょうか。

うん。あるね。

-あなたは常に曲を書いているのでしょうか。

そうだね。Erickと僕は常にアイディアを出し合っているよ。

-そうやってシンプルでオーガニックなものにした結果、ヴォーカル入りの楽曲がなくなったということでしょうか?

そうだね。でも、毎回趣向を変えるのもいいんじゃないかと思うよ。

-では、ここからはいくつかの楽曲についてうかがいます。「Gift」では60~70年代ロックを思わせる、サイケデリックなフレーズが出てきますね。この曲のテーマを聞かせてください。

「Gift」でサイケデリックなものを作ろうとしたことは間違いないね。というのもフェスの出演が決まっていて――というか、このアルバムの曲作りを始めた時点で、今年のフェスの出演がすべて決まっていたんだ。そのことが曲に影響を与えているね。"そうか「フジロック」に出るのか。「フジロック」でプレイするときにヴァイブに欲しいのはなんだろう"なんて考えて、"サイケデリックなセクションはどうだろう?"と思ったんだ。そうしたらすごくクールな画を思い浮かべることができた。"フジロック"でサイケデリックな曲をプレイしている画がクールだと思った。そんな感じでできた曲なんだ。

-今年は"Coachella Festival""Shaky Knees Music Festival""Electric Forest"に出ましたね。そして今度は"フジロック"です。

そう。フェスのシーン全体に影響されたアルバムだと思う。そういう流れの中でプレイしたらクールになりそうな曲を作った感じかな。