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INTERVIEW

Japanese

nim

2018年09月号掲載

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Member:Koichi Kato(Vo/Gt) Hisana Nogami(Gt/Vo) Hayato Minesaki(Ba) Kenichi Nogami (nong)(Dr)

Interviewer:山口 智男

-英語の歌詞の中に入り混じる日本語の歌詞(の響き)にハッとさせられる瞬間があるのですが、英語と日本語の使い分けはどんなふうに行っていますか?

Kato:メッセージ性が先行する曲は日本語を選びました。メロディのニュアンスを損なわない、且つわかりやすい言葉を選ぶということにかなりこだわったんです。それによって独特な響きになったと思います。

Hisana:作曲の段階で、"この曲は日本語で歌いたい"、"英語で歌いたい"というのがわりとはっきりしているんです。歌からできる曲は日本語が多く、逆に楽曲のイメージから先に作っていく曲は英語の方が多い傾向にあります。

-また、男女ヴォーカルも印象的で、nimの魅力のひとつだと思うのですが、声色の違いを効果的に使っているという意識はありますか?

Hayato:Hisanaが入ったことによって新しいnimの武器が増えたので、それを最大限に生かせるようには意識しました。

Hisana:Kato、Hisana、nongの歌は、声色だけでなく発音や歌い方もまったく異なるので、コーラスワークを飛び道具的な役割にしたり、優しく添えたり、歌詞を際立たせたり、様々な使い方をしています。またアルバムという長尺の中で私がメイン・ヴォーカルとして歌う曲も差し色のような役割になったと思います。まだまだいろいろな使い方をできるのではと思っていますし、これからも多彩なコーラスワークに挑戦していきたいです。

-今回、アルバムを作るうえでチャレンジだったことはありますか?

Kato:すべてがチャレンジでした。今まで以上に限られた時間の中で、今までこなしたことがない曲数を、思いっきりこだわって制作したので。

Hisana:「606」や「SSF」のような今までやったことのない曲調をアルバムに入れたことですね。ここまでポップに聴こえたり、終始、3コードの8ビートで叩いていたりする曲は今まででは考えられなかったですから。今回はフル・アルバムということで挑戦できて良かったと思います。

-「月がみてる」の童謡を思わせるような、ノスタルジックなメロディがとても心に響きました。この曲はどんなふうに生まれたのでしょうか? また、曲にまつわるエピソードがあったらぜひ!

Kato:『leverage』を作っているくらいのときに僕が弾き語り用に作った曲で、最初はバンドで演奏する予定はなかったんですが、今回、バンド・アレンジをして収録することになりました。歌詞の内容的には、過去に亡くした大切な人たちへの想いを歌った曲です。

-その他、思い入れのある曲を挙げるとしたらどの曲になりますか? その理由も併せて教えてください。

Kato:たくさんになってしまうのですが、まずは先行でリリック・ビデオにもなっている「Song 2」「Moon is the sun」です。まさに原点回帰を超えることを狙って作った曲で。あとは「Piece of heaven」と「SSF」です。この2曲はnimにとって新しいアプローチが強く出ていて、且つ自分たちらしさもしっかりあると思います。そして最後に、「Up on the hill」。この曲はアルバムの中で一番、4人のケミストリーが起こった素晴らしい曲になりました。

Hisana:私も、「Piece of heaven」です。この曲はもともとシングル『searchlight』へ収録する候補曲として曲作りを進めていました。なかなか思いどおりに完成しなくて、何度も練り直しているうちにちょっと嫌になって放り出したりもしました(笑)。また曲作りを再開したときに、ちょうど日常で思い詰めていたことを歌詞にして、曲のイメージをその世界観に寄せたらスムーズに進んで。

Hayato:全曲思い入れしかないんですが(笑)、「Song 2」は歌詞的にいろいろな遊び心と10年前に作った「song#1」(『perfect chicken』収録曲)のアンサー・ソング的な内容も含めてるので、特に大切な曲ですね。

-どんなリスナーに聴いてもらいたいですか?

Kato:日本のロック・シーンになんとなく疑問を感じている人に届いたら嬉しいです。

Hayato:単純に人種とか性別を超えて、ひとりでも多くの音楽ファンの方に届けられればいいなと思います。

-"MELLOW KONG"というアルバム・タイトルに込めた意味はなんですか?

Hayato:原点回帰の意味も含めて、1stアルバムの"perfect chicken"みたいなタイトルにしたいねとメンバーと話し合ってできたタイトルです。対比するふたつの言葉のマッチと、"Yellow Monkey(東洋人、日本人)" から言葉遊びを派生させました。日本から世界に向けて、日本人として誇りを持っていきたいという意味も込めて。また10年の時を経て"perfect chicken(完全なる臆病者)"が"MELLOW KONG(熟された強者)"に変化したという流れも気に入ってます。

-アルバムを完成させ、バンドはどんなレベルに達したと思っていらっしゃいますか?

Hisana:今までは作品とライヴが別モノのような感じで、作品ができてからそれを分解して、またゼロからライヴで演奏する仕様に組み立てていくかのようなプロセスでした。今回はすでに楽曲にライヴ感を持たせられたので、楽曲と自分たちが表裏一体になれているような、ネクスト・レベルに達せられたと思います。

-最後にリリース後の活動予定や、今後の目標を教えてください。

Kato:よりたくさんの人に僕たちの音楽をしっかり届けられるようになることが目標です。

Hisana:全国各地にて、来年春ごろまでかけて、月に2本ほどのスロー・ペースですが、ゆっくりツアー([nim "MELLOW KONG" release tour])を周っていこうと思っています。まだ行ったことのない土地でもライヴをしたいです。

Hayato:極度の無理をせず、自分たちのできる最大限の活動をメンバー全員が納得しながらやれればと。しばらく行けてなかった海外ツアーをまた勢力的にできればと思っています。

nong:これからも意欲的に作品をリリースしていきたいと思っています。ライヴもメンバーとも擦り合わせしたうえで取り組んでいきたいです。これからもnimをどうぞよろしくお願いします。