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INTERVIEW

Japanese

長靴をはいた猫

2018年07月号掲載

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Member:鶴(Vo/Gt) ヤナギ(Gt) あんじー(Ba) イノウエケンイチ(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-ご自身の原体験的な部分が表れた結果、そうなるのかなと思ってました。今日お話をうかがうまでは。

鶴:そんな深い人間性もないから、自分の実体験や経験みたいなものがそんなにないんですよ(笑)。シンガー・ソングライターの人って"自分の実体験から書いてるんですか?"ってよく訊かれてるじゃないですか。でもそういうのとは違って、普通に小説を書いているような感覚で。だとしたらストレートに表現したんじゃそんなに面白くないかなっていうだけなんですよね。だから全部フィクションだし、「暗夜光路」のことをドロドロの恋愛だと思ったとしても、そうじゃなくて親子関係だなって思ったとしても、どちらも正解。その人によって(解釈は)違うものだから、あなたが思ったことが正解だし、この曲クソだなと思われたとしてもそれも正解なんです。

-と言いつつ、中心にあるのは"「上手く泣けなかったあなたに。」"という部分だという自覚はあるんですよね?

鶴:まぁ生みの親だからちょっとは(曲に)反映されるよねっていう。"もう人のことなんて信じ切れないぜ"みたいなことは思ったことないんですけど、どこか捻くれている部分はあるんでしょうね。だって捻くれてなかったらバンドなんてやってないだろうから(笑)。

-ちなみに普段から小説は読まれるんですか?

鶴:めっちゃ読みますね。児童文学とかファンタジー系が好きです。宮部みゆきさんの"ブレイブ・ストーリー"とか、山崎ナオコーラさんの"人のセックスを笑うな"とか。そういえば、バズマザーズの山田(山田亮一/Gt/Vo)さんが好きな小説家に中島らもさんを挙げていて、"これは読むしかない!"と思って読んでみたら、それは全っ然わからなくて。3冊ぐらい読んだんですけど。

-でも3冊頑張ったんですね(笑)。

鶴:どうしても理解したくて3冊は頑張ったんだけど、もうわかんねぇなと思ってやめました(笑)。

-今日のお話を聞いた限りだと、理想の表現ができるようになりたい、憧れている表現者に近づきたい、っていうのが一番のモチベーションなんでしょうね。

鶴:そうですね。それこそ最初に挙げたハヌマーンも"こんな言い回しは初めて聴いたよ"みたいな曲ばっかりで。そういうのを自分もやりたいと思ってるので、勉強しながらやっているっていう感じですね。

-では最後に、今後の活動に対する意気込みをおひとりずつ聞かせていただけますか?

ヤナギ:ふわっとした言い方になってしまうんですけど、やっぱり行けるところまで行きたいですよね。僕が尊敬していたり、好きで普段から聴いていたりするようなバンドの方々と肩を並べて演奏してみたいんですよ。だからそこに行くためにちゃんと技術や感性を高めていけたらいいなと思っています。

イノウエ:1st EPは店頭ではTOWER RECORDSの渋谷店限定のリリースだったんですけど、今回は新宿店、名古屋パルコ店、梅田大阪マルビル店、広島店にも置かれるんです。そういうふうにいろいろなところでCDを聴かれているっていう現状があるし、実際"島根ではライヴしないんですか?"とか"いつか京都にも来てほしいです"って言ってもらえる機会も増えてきたので、ツアーをしてみたいですよね。地方のファンの方と実際に喋ってみたいし、インターネット上で応援してくれてる人たちにもライヴを観てほしいなって思います。

あんじー:この姿勢を崩さずにいきたいです。ファンの人たちや聴いてくれる人の求めるものを大事にしつつ、自分たちの色を失わずにやっていきたいっていう感じですかね。

鶴:"長靴をはいた猫として、絶対にいいって自信の持てる曲だけを出す"っていうのが自分の中の信条としてあって。これから"新曲出さないんですか?"って言われることも増えてくるかもしれないですが、自分のペースで、いいと思ったものだけを出すっていうのを絶対に崩さずやっていけたらいいなと思ってます。

-わかりました。そろそろ本日の取材を終了しようかなと思いますが、正直、もっともの静かな人たちなのかなと思ってたので、こんなにカラッとしたテンションで話す人たちだったことが意外だったっていうのが正直な感想で。

イノウエ:まぁそれほど暗いタイプではないですよね。特に鶴は、対バンした人や初めてライヴを観た人にも"ヴォーカルの人はMCのときと演奏してるときで全然雰囲気が違う。そのギャップが好きです"っていうふうによく言われるんですよ。

鶴:アーティストだからね!

ヤナギ:お喋りなだけでしょ(笑)。

鶴:(笑)コミュ障の中にも、全然喋らないタイプの人と、思った以上に喋っちゃうタイプの人っているじゃないですか。そっちの(思った以上に喋っちゃう)タイプってことです! たぶんお家に帰ってから落ち込むんだろうなぁ......今日も来るまでに"今日は喋りすぎないように"って100回ぐらい唱えてきたのに......。