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INTERVIEW

Japanese

結城綾香

2018年03月号掲載

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-普段は弾き語りでライヴをやっている結城さんが、今回、「ビニール傘」と「狛江通り」の2曲は、バンド・サウンドでレコーディングしています。普段弾き語りしている曲を、バンド・サウンドにアレンジするときのイメージは、結城さんが考えたのですか?

私が打ち込みでアレンジしたんですけど、勉強不足で、山本さんが何回かスタジオに入ったなかで決めてくれて。しかも、たまたまベースの内山君(ドラ内山)と山本さんの相性がすごく良かったんですよ。ふたりとの間には"こいつヤバいから、ここでなんとかしないと"っていう謎の結束が生まれていた感じがします(笑)。

-つまり、その2曲に関しては、こういう曲でというイメージがあったわけですね。

「狛江通り」に関しては、普段の自分が作らないような曲なので、あまりイメージは湧いてなかったんですけど、「ビニール傘」に関しては、結構口を出しました。特にギターに関しては、すごくこだわりました。

-「ビニール傘」は長いこと歌っている曲なんですよね。

そうですね。19歳のころに作ったんですよ。

-どんなイメージがあったんですか?

ナンバーガールの「水色革命」を聴いた直後に作った曲で、ああいう直情的な感じを出したいと思っていたんですけど、syrup16gの『delayed』を聴いて、"あ、こういうやつがいい"ってギターのアレンジが固まって、ギターの茂利(達郎)君とふたりだけで別日にスタジオに入って、3時間ぐらいかけて、"ここは、これで。それ以外は嫌だ"って言いながらかっちり録りました。

-今回、歌詞を変えていますね?

"シューゲイズ"と"ジョニー・マー"を加えました。単純にJohnny Marrのギターがずっと頭の中で流れていて、曲に"シューゲイズ"と"ジョニー・マー"を当てはめてみたら語感が良かったんですよね。あと、私のファンの方にTHE SMITHS好きが多かったので、リスペクトも込めて。

-結城さんもTHE SMITHSがお好きなんですか?

はい。Johnny Marrが一番好きです。

-じゃあ、「yes or no」の"あの日のギター・ヒーロー"っていうのは――

すみません、五十嵐さんです(笑)。

-なるほど(笑)。

 

私のギター・ヒーローは、Brian MayとJohnny Marrと五十嵐さんなんです。

-そこにBrian Mayが入るんですか?

はい、入るんです。母がQUEENが好きで、私が5歳のときに聖飢魔IIのライヴに連れて行くような変わった人だったんですけど、その影響が強くて(笑)。

-でも、QUEENのような音楽をやろうとは思わなかった?

ああいう音楽は頑張らないとできないんだろうなって中学生のころに思いました。私には努力する能力はないぞと思って、感性を磨こうと思ったんです。

-「ビニール傘」では、もう1ヶ所"Kill me kiss me"を、"Feel so good"に変えていますが。

それも語感が良かったからです。その曲のなかに"ジョニー・マー"という言葉を入れるなら、"Kiss"って単語は使いたくないっていう、ただそれだけのことで、なんか気持ち悪かったんですよ(笑)。それで、Johnny Marrを聴いたらどう思うかってとこから"Feel so good"だなって。

-普段弾き語りでライヴをしているシンガー・ソングライターだから、もちろん、言葉は重んじているとは思うんですけど、言葉の意味だけに頼らず、語感とか言葉のリズムとかも大事にしていると感じました。

そうですね。夢野久作が好きなんですよ。小説家ですけど。"ドグラ・マグラ"の出だしの、よくわからない擬音語が入っている感じがすごく好きで、小学校のときから、それでずっと遊んでいたんです。小学生で"ドグラ・マグラ"を読むってヤバいですけどね(笑)。その延長ですよね。思ったことや感じたことが、いろいろな言葉で出てくるんです。福岡出身なんで、博多弁だったり、英語もちょっとできるから、英語だったりとか、"万葉集"が好きだから古語だったりとか。例えば、"蝶々"も"てふてふ"と。蝶々なんだけど、"てふてふ歩いている"と言ったら、なんとなく想像が膨らむじゃないですか。その感じが好きなので、単純に楽しんでやっています。"てふてふ"でふたつの意味が表せる。面白いって。