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INTERVIEW

Japanese

Cell The Rough Butch

2016年07月号掲載

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Member:登 翔一(Vo/Gt) 樫村 涼輔(Dr) 安食 浩太(Gt) 徳田 祐輔(Ba)

Interviewer:白崎 未穂

-話を戻します。Track.3「薄紅ノート」はストリングスを取り入れた壮大なバラード曲でドラマの主題歌になりそうなとてもいい曲ですね。Cell The Rough Butchの一番の魅力ともいえるメロディアスなサウンドを押し出しています。"君"に向けた手紙のようなノスタルジックな歌詞も印象的です。

登:「薄紅ノート」の世界観は高校のときに心の隅っこに思い描いていた話でした。教室、自分の机、隣に片思いの好きな人。ふたりでひとつのノートに落書きし合って、笑い合って、付き合って、卒業して、会えなくなって、忙しくて連絡も取らなくなって、けじめも中途半端になって。大人になってあの娘は元気かなって。もし今でもお互い思い出してたら、またあの続きを見たいなぁ......なんていう物語を具現化してみました。

-小さいころの何気ない毎日を描いたTrack.6「日々」。歌詞に"ポジティブシンキングの魔法にかかる"とありますが、その裏にはネガティヴな思考が見えてきます。この曲にはどんな背景が?

登:この曲は――前作『LINK』に収録されてる「4つの何か」という曲があるんですけど、それは僕の大切な友人が結婚しまして、結婚式に呼ばれたんですが、ツアーが重なって行けなくて、せっかくだからとそのふたりのためにって書いたんですよ。それでその人に子供ができたので、ぜひとも続きを描きたいなと思ったんですが、区切りのない現在進行形の家族風景をどう作ろう......と思ってしまって。ならばと友人が子供のころの話を描きたいなと。いわゆる「4つの何か」の"Episode 0"ですね。「4つの何か」ではハンバーグやカレーなど、旦那さんが好きな食べ物を歌詞に散りばめたのですが、今回は、じゃあ"なぜハンバーグやカレーが好きになったのか"という視点で書いていきました。もちろん幸せな毎日なんて続きはしないですから、幸も不幸も共有し、それでも人生のパートナーとして、家族として揺るがない絆のもと、生きていくのが人間なんだなと。本当は見落としてる、あるいは見て見ぬふりをしてる、どんな日々にも何気ないドラマがあって。いつか自分が大人になったときには素敵な奥さんと結婚して絶対幸せにしたいなと、書いていて自分がそう思ってしまいました。

-「日々」だけではなく、今作の歌詞は実際に体験したことをもとに書いているのかなと感じましたが、いかがでしょうか?

登:半分半分な感じですかね。ほぼほぼ実体験をもとに制作した楽曲が基本です。「再会の場所」(Track.5)、「夕暮れ」(Track.4)は完全に実体験ですね。「再会の場所」は"MOMENT FES"のこと、自分の気持ちを正直に、まっすぐに書き綴りました。「夕暮れ」は僕が初めて家出したときのことを思い出しながら書いた曲ですね。

-収録曲の中で、特に思い入れの強い1曲をそれぞれ教えてください。

登:なんだろうなぁ......。全曲歌詞を産み落としてるので、全曲思い入れがあるけど――「日々」でピアノを弾いたんですが、ミュージシャンとしての覚悟を持って望んだので、新しい楽器に恐れず向き合うのは普通だと思いますし......。

安食:となると、やっぱり「MOMENT」ですね。他の曲もみんな思い入れがあるのですが! この曲がなかったら途中で挫折していたかもしれないので。たぶん、この先もこの曲には助けられるんだろうなと思います!

徳田:自分は「縁-えにし-」(Track.2)です。今までは曲ができたら"じゃあライヴでやってみよう!"、"曲がたまってきたから音源作ろう!"という流れだったんですが、今回は"音源を作ろう! じゃあ曲作らないと!"っていつもと逆パターンの流れだったので、制作期間としてはかなり短かったんです。その中で今まであまりやったことのないビートだったので身体に馴染ませるのに時間がかかったし、そのビートの中でどう弾くかっていうのはすごく考えました。

樫村:僕は「日々」ですね。曲中にマレットを使ってみたりと僕自身も新しい試みをしたのですが、この曲、登さんがピアノを弾いてるんです。ピアノを入れたいから練習すると言い、1週間後には弾けるようになってました(笑)。レコーディング後に完成した曲を聴いて感動しました。

-Cell The Rough Butchのライヴは、人情深い言葉がエモーショナルな歌声に乗ることで、熱い想いが心に届くパフォーマンスだなと感じましたが、ライヴで特に大切にしていることはありますか?

登:10年前と今とで確実に違うことがひとつあって、それは歌うことです。前まではピッチがずれないように、歌詞を間違えないように、なぞるように歌っていましたが、今は伝えることに集中して歌うようにしています。お客さんひとりひとりと会話するように歌うというか。しっかり目を合わせますし、目が合ったら見てくれて、聴いてくれてありがとうというように歌っています。そういうふうにしていたら、やっぱり自ずと気持ちが入るんですよ。こういうのがきっと俺にしか歌えない歌なのだろうなと。

安食:僕はわりと細かいところを常に気にしていますね。お客さんに対してというのはもちろんなんですけど、時間が押さないようにとか、電源が抜けないように、とか(笑)。なんか、"いいライヴ"ってそういうところから始まるのかなと!

-この10年はどんな期間でしたか? また、今後の目標、そしてこれからの夢を教えてください。

登:Cell The Rough Butchが生まれてまだ10年。10歳です。スコッチで例えたら、やっと説得力が出てくるころです。なので、やっと"Cell The Rough Butch 登 翔一"が美味しくなってくる頃合いなのかなと思います。音楽家として、人間としても、人様に出すための熟成期間だったかなぁと。札束ばらまいて"好きなもん買って食え"というヴィジョンよりかは、あの人のために、これが食べたいんだろうなと思って料理したり、あの人のために手編みのマフラーを作ってあげたりしちゃうような、そんな気持ちや思いやりをもったバンドに育てていきたいですね。そういうあたたかい夢をお客さんとともに見ていけたらなぁと思ってます。

安食:気づいたら10年でしたね。思い返せばいろいろとありましたが、あれ? もうそんな前の話?ってことが多いです。僕はあとから加入しているので、実質やっているのは7年間ですが、加入したのもなんだか去年くらいの気分です(笑)。まだまだこれからです! 夢は"武道館ワンマン・ライヴ!"あと何年で到達できるか全然わかりませんが、それが目標です!

徳田:自分は加入して5年目ですが、やはりいろんなことがありましたね。いいことも悪いことも。でもやっぱりバンドが好きだから続けてこれてるんだと思います。バンドをやってなかったらやらなかったことや、行かなかった場所がたくさんあります。これからもいろんな場所に行ってライヴをやりたいです。個人的には海外でライヴをやりたいと思ってます!

樫村:僕が入ってから6年、ブッチでドラムを叩いてなかったら知ることができなかったいろんな世界を見て体験しました。いい意味で僕の人生観をぶっ壊した6年です。ブッチの曲、登さんが作る曲にも励まされたし、考えが変わったりもした。そんな登さんの作る曲をいろんな人に聴かせたい。そのためにも日本全国をライヴで回ってブッチの音楽を広めたいですね。

-最後になりますが、読者へのメッセージをお願いいたします。

安食:この記事を通じて出会えた方と今度はライヴ会場で会いたいです! 可能な限り、いろんなところでライヴをするので、近くのライヴハウスに来たときはぜひお越しください! 待っています!

徳:Skream!を読んでいる皆様! 初めまして! この記事を読んで少しでも僕たちのことを知っていただけると嬉しいです。7月20日にリリースされる『ロンバートストリート』を引っ提げてたくさんの場所にツアーに行くので、みなさん遊びに来ていただけると嬉しいです! これからもCell The Rough Butchをよろしくお願いします!

登:悩んだら悩んだぶん自分と向き合った証拠。つらければつらいぶん、自分が頑張った証拠。楽しんだなら楽しんだぶん、自分が相手に感謝した証拠。このSkream!もいろんな熱い気持ちを持って作ってくれてます。これからも相思相愛な音楽に出会い、あなたの人生を少しでも楽しませられるような音楽ライフを。最後まで読んでいただきありがとうございました。