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INTERVIEW

Japanese

SECONDWALL × nishi-ken

2016年04月号掲載

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SECONDWALL: YUKA(Vo) RYO(Gt) APG(Gt) YU-SUKE(Ba) SHOHEI(Dr)
プロデューサー: nishi-ken
インタビュアー:沖 さやこ

-では、今回の制作におけるテーマはありましたか?

YUKA:nishi-kenさんに"まず核となる1曲を作ってくれ"、"絶対的なリードが欲しい"と言われていたんです。でもなかなかできなくて......かなりの試練でしたね(笑)。とにかくいい曲を作ろうと必死でした。本当に最後の最後にでき上がったのが今回のリード曲「恋の終わりに、桜舞い散る」(Track.1)で、すごくポップに仕上がりました。この曲は3月の終わりを歌った曲なんですけど、関さんが監督をしている3月31日を舞台にしたドラマ"明日もきっと君に恋をする"とも偶然リンクして、タイアップのお話もいただいて......悩み抜いて作って良かったですね。

nishi-ken:曲を量産するときはだいたいひとついい曲があって、そこを柱に曲作りをしていくんですけど、SECONDWALLから上がってくる曲は全部良かったんですよね。チーム全員で相談して、あんまり音楽を知らない人にも響くものを引っ張り出そうということになったんです。だから"違う違う、聴いてる人はもっと万人いる感じ"、"もっと空が青い感じで"みたいに風景のイメージを投げかけていきました。それで良曲がこれだけ揃っているところに、誰がどう聴いてもこの曲がリード曲だと思う「恋の終わりに、桜舞い散る」が届いたので"この曲があればこの作品は大丈夫だ"と思いましたね。でもライティングする立場はすごく難しかったと思いますね。

YUKA:これを作ってるときにAPG君とふたりで"これ間違いなくリードでしょう!"と思ってたので(笑)、そう言ってもらって本当に嬉しかったですね。

-物語性のある歌詞もキャッチーですね。

YUKA:メンバーがいてこそのSECONDWALLなので、私だけじゃなくメンバー全員が歌っている気持ちでいてほしいんです。だからあえて男性目線や中性的な目線で歌詞を書くことが多いのですが、この曲はAPG君がもしも学生時代にこういう淡い恋をしていたら......と思って書きました(笑)。誰もが初恋は少しうまくいかなくて、引きずっているわけではないんだけどずっと胸の中にあって。初恋含め思い出は綺麗なままで心の中に残るなと思ったので、そういうものを書きたかったんですよね。でもBメロのコードにちょっと哀愁があったので、"あ、これは2番で別れるな"と思って(笑)。コード進行からこういうストーリーになりました。一見ネガティヴに思える歌詞や悲しいイメージのサウンドもあるかもしれないですけど、ポジティヴなものは作りたいという気持ちはバンドを結成したときから思っていることですね。ネガティヴなようでネガティヴじゃないというか......それに支えられているからこそ前を向いていけることもあるので。

-そうですね。歌詞に関してもアドバイスは多かったのでしょうか?

nishi-ken:レコーディングして声が乗った状態のものを聴いて歌詞やメロディを変えたりしましたね。日本語なんだけど英語っぽく響くようにひとつの音符に2音(ひらがな2文字)を置いたり。そうすると響きだけでなく風景もヴォーカリストもかっこよく見えるんですよね。書いているテーマは彼女のものを優先させて、僕は言葉と発音のバランス感だけを見ていきました。

YUKA:今までは自分の好きなように書いていたので、歌詞は本当に苦労しました。修行の連続でしたね(笑)。"精神と時の部屋"というような感じで......ヴォーカル・ブースの中で泣きそうになりながらの作業でした(笑)。でも今nishi-kenさんがおっしゃったことを制作しながら実感できたので、本当に勉強になりましたね。「OVER」(Track.2)はnishi-kenさんの力を借りて、歌詞もメロも一新しました。

-「OVER」は作詞がYUKAさんとnishi-kenさん、作曲がAPGさんとnishi-kenさんというクレジットになっている楽曲ですね。

YUKA:APG君が作った曲に私がメロディを乗せたんですけど――メロディを5パターンくらい作って、歌詞も書き上げたのですが全部NGだったんです(笑)。それで結局、nishi-kenさんがメロディをつけてくれて、そこに私が歌詞を書いて。歌詞に関してもアドバイスをもらいながら書きました。なので本当に共作ですね。nishi-kenさんがいなかったらできなかった曲だと思います。

nishi-ken:もともとあったメロディも歌詞も楽曲として成り立っていたんですけど、ライティングに冷静さや狙いにいってる感じが見えたんです。僕やチームが求めていたものはもっと刺激量が高いものだったので、躍動感がちょっと弱いかなと思ったんです。音の良さではない勢いや雰囲気が必要だと思ったので、彼らからもらったデモに俺が声が出るか出ないかのハイトーンのラララで思いっきり勢いまかせに行き当たりばったりで歌った一発録りを乗せて(笑)。だから曲が悪かったわけではないんですよ。考えすぎて冷静になった温度がGOサインに至らなかった、ということですね。

-アレンジはどの曲もクレジットがAPGさんとnishi-kenさんの連名ですが、APGさんが作ったデモにnishi-kenさんが手を加えるという手法ですか?

nishi-ken:そうです。でもほとんど変えてないですね。"もっと大衆的に聴こえるためにはどうしよう"というところでちょっとホーンやピアノ、シンセといったプラス・アルファを足していったり。ギター、ドラム、シンセがあって、そこに何が入ると新鮮に聴こえるか、という発想ですね。あとは細かいフレージングを調整する作業でした。ギターのフレーズや録りはプレイヤーふたりに任せて、リズム隊はシンプル且つかっこよくしていきました。

YU-SUKE:「OVER」は"デジタル要素が入るぶん、ベースはダウン・ピッキングで攻めていかないと有機的にならない"とnishi-kenさんがおっしゃっていて。"ここがオルタネイトになっちゃうと粒が揃ってつまんなくなっちゃうから、勢いを出して弾いてほしい"と言われて、そこはすごく勉強になりました。