Overseas
FAT WHITE FAMILY
2016年02月号掲載
Member:Lias Saudi(Vo) Saul Adamczewski(Vo/Gt)
-Track.7「Tinfoil Deathstar」ではデヴィッド・クラプソンという人物が描かれています。
Lias:デヴィッド・クラプソンは、英国の政治的状況がいかに腐ってるかのいい例だよ。彼の名前をググってみれば言っている意味がわかると思う。社会福祉の規模を縮小するとどうなるかっていうことの、痛切で悲劇的な例だから、彼の名前を出したんだ。
-Track.8「When Shipman Decides」ではハロルド・シップマンという名前が出てきますね。
Lias:俺が大ファンだからな。
Saul:(笑)ハロルド・シップマンは、特に興味深くて変わった連続殺人鬼なんだ。ファンじゃないけど、彼について興味があってそれを掘り下げたくて、でもそうしちゃいけないなんて理由はどこにもないと思う。これも人間の人生の一部だし、僕らが見つけた、変な興味の対象のひとつさ。
Lias:そこから顔をそむけないといけないなんて理由はないんだ。
Saul:人々はこういう忌まわしい犯罪について、それがどんなに間違ったことでも、なんであれ自分のやりたいことをやってしまう人間に対する抑えきれない興味を抱くものだと思う。
Lias:特にそれが職業上では普段人々を救っている人物で、コミュニティの中でも重要な人物なら余計にさ(※ハロルド・シップマンは医師でもあった)。とても興味をそそられる題材だよ。
Saul:俺が自分のガールフレンドについて歌うよりもよっぽど興味深いね。
-ではTrack.10「Goodbye Goebbels」のアドルフ・ヒトラーとヨーゼフ・ゲッベルスについてはいかがですか?
Lias:あれはヒトラーの視点から書いた曲だよ。
Saul:歴史的に見て、とりわけ極端に緊張感と波乱に満ちた、異常に劇的なストーリーで、一体そのときに水面下で何が起きていたのか誰もはっきりとは知らない。何が起きたにしろ、それは凄まじく悲劇的だったに違いないんだ。
Lias:好む、好まざるに関わらず、彼らだって人間だったのさ。
Saul:それが俺たちが言おうとしているメッセージだと思う。これらの人物もみんな人間で、彼らは俺にだって、君にだって似ている。それが興味深いと思うんだ。
Lias:俺たちはみんな関連があって、だからこれらの人物に興味を惹かれて感情移入をしているんだ。俺たちは人間として、彼らとそんなに大きく違っているわけじゃない。ほんのちょっと角を曲がれば、同じようになる可能性がある。だから、こういうことについて歌うのは理にかなっていると思うよ。
Saul:それも3分間のロマンチックなバラードでね。
-対してTrack.2「Satisfied」に登場するプリーモ・レーヴィは同じ時代をヒトラーと真逆の立場で生きた人物ですよね。
Saul:うん、ほとんど文字通りね。どうして彼に興味を惹かれるか説明の必要はないよ、彼は素晴らしい人物だしさ。
Lias:うん。誤解されないようにしたいんだけど、彼は間違いなくヒーローだし、彼の書いた本も読んだけど素晴らしいよ。でも他に出てくる人物と同じく、ここでも彼の名前は作曲のうえでの象徴的なツールとして使っているんだ。
-ホロコーストやナチズムといったテーマは前作にも出てきますよね。
Lias:うん、ある意味歴史的に最も興味深い出来事だと思うんだ。
Saul:俺たちは酔っ払ってホロコーストについて話すのが好きなのさ。
Lias:そう、それが音楽を演奏している以外のときに俺たちがすることさ。瞑想しているか、酒を飲んでるか、酒を飲みながらホロコーストの話をしているかのどれかだね。このインタビューが終わったらジャグジーに浸かりながらダッハウかアウシュヴィッツの話をすると思うよ。
Saul:ショッキングなものを作るためや、ふざけてそういう話題を扱っているわけじゃないんだ。それが重要な出来事だからさ。
Lias:なぜ他の人々がもっとこういう題材を扱わないのか不思議に思うね。俺たちにとっては自然なことだからさ。
Saul:他に何について曲を書けばいいのかわからないね。
Lias:それに俺たちが自分たち自身のことを何も記憶できないことを考えると、この時代についての歴史書は山ほどあるし、このテーマはいくら追求しても尽きることはないよ。
-先ほど社会の右傾化について触れていましたが、それもナチズムの歴史に触れる理由になっていますか?
Lias:間違いないね、俺たちは同じ道を歩んでいるところだよ。もうすぐそこまで来ている。たくさんの戦争や殺人や虐殺が起こっているし、とても共通点が多い。そしてそれ(ナチズム)が人々にとって1番わかりやすい例なんだ、それについてたくさんのハリウッド映画なんかも作られているからさ。なぜかね。
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