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INTERVIEW

Japanese

Hello!!!

2015年06月号掲載

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Member:道原 シンジ (Vo/Gt) 灰野 勇気 (Gt) かーや (Ba) 岡田 真帆 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-(笑)そういう純粋でシンプルな気持ちが反映されたバンド名なんですね。

道原:今までいろんな、要らないことまで考えちゃって、要らない妄想からどんどんどんどん......"そういうのはもうやめよう!"って。人生シンプルに行った方が面白いし。バンド名を見るだけでその気持ちを思い出せるので、そういう自己暗示効果はいいですね(笑)。

-その新境地の第一歩になった「海辺のグッドバイ」は、サンバとジャズを足して2で割ったようなリズムのドラムが、海辺のそよ風の空気感を出していて気持ち良かったです。

岡田:LED ZEPPELINのJohn Bonhamがこの世で1番好きなドラマーで、それがきっかけでドラムを始めたんですけど、私はこのバンドに入る前、もともとずっとジャズ畑の人間で。だから最初のうちはもっと大きくパルスを取らなきゃ、もっとロック・ドラマーにならなきゃと思っていて、無理に"自分はロック・ドラマーだ"という上着を着て叩いてたんです。でも私が思わずジャズ・フレーズを叩いたりするとメンバーがそれに合わせたフレーズで返してくれて、音で"真帆は真帆なりのドラムでいいんだよ"というのを示してくれて。だからロックをやってきたドラマーではないというコンプレックスを、メリットに変えてみようかなと思ったんです。"こういう曲なら絶対に四つ打ちだよね"という概念を取っ払って、いろんな音楽をミクスチャーしたリズムを出したいという気持ちで叩いて。わたしはテイクごとにどんどんドラムが変わるし。

-ああ、それはまさしくジャズ・ドラムのスタイルですね。

岡田:ライヴごとにやることも変わるし、レコーディングでもテイクごとに全然違うから、1テイク目のいいところと2テイク目のいいところを取って繋げるとかができないんですね。全部録り直すたびに、かーやに付き合ってもらって――そういう意味では本当にみんなに迷惑を掛けたなって(笑)。だからいろんなものを全部取っ払って、そのときのフィーリングで叩いたフレーズです。自分にしか出せないもの、今の4人にしか出せないものが録れたアルバムだと思いますし、そう言っていただけて"ああ、伝わったんだな"と思ったので、すごく嬉しいです。

-あと、Hello!!! はかーやさんのベースと灰野さんのギターが、ツイン・ギターみたいで、とても華やかだなと。

かーや:私はギターをやりたいとは思わないんですけど、ベースでメロディを奏でたくなってしまって。ルートよりも歌ってるベースのほうが好きなんですよね。......だからかな。

-「海辺のグッドバイ」はどの楽器も歌ってるみたいですよね。世の中には明るい曲調で暗い歌詞を歌うものもありますが、Hello!!! は歌詞が描いているものとサウンドで描いているものも同じだなと思いました。

道原:それは結構、みんなが読んでくれてるのかな。ボツにしたアルバムの曲を作ったときは作ったときの気持ちや、情景、イメージを口で伝えたりしてたんですけど、今回はそういうものが少なくて。彼(灰野)には結構言いましたけど(笑)、「世界をのぞむ家」(Track.3)のギターに関しては、1ヶ月くらい僕が"何も感じない"と言い続けてて(笑)。

灰野:3日風呂に入らず、ひたすらずっとギターを考えてました(笑)。

道原:でもそれを越えたら、そのあとはむしろ曲を引き立ててくれるフレーズばっかり作ってきてくれて。それからは1個も口出ししなかったです。彼も何か殻を破ったのかなと。

灰野:(殻を破れたかどうかは)自分ではよくわかんないんですけどね。気付いたらできてたんで、あんまり憶えてないです(笑)。

岡田:今回はみんなでヴォーカルのメロディのことを考えたというか......歌い方のためだけにスタジオに入ることも多かったんです。私たちが意識してないのに"どの楽器も歌ってるみたい"と言ってくださったのは、そういうことが反映されているのかも。バンド練と同じくらい時間を使って、音程の取り方や、歌い方も"ここは裏声に行くのか行かないのか"とかも、みんなで歌詞カード見ながら"ここはこうしようよ"と話し合う作業があったんです。ドラマーはリズムを刻むことで仕事が終わってしまいがちだけど、歌い方まで考えたことがプレイにも生かされてるのかな。

道原:たしかに。ああいうことをしたのは初めてだったね。前は好き勝手に歌ってたんですけど、客観的な意見も今回は取り入れて。