Japanese
toitoitoi
2015年03月号掲載
Member:岸川 まき (Vo/Syn/Melodica) 村越 真史 (Gt)
Interviewer:沖 さやこ
-まきさんの歌も優しくなっていると思いました。
岸川:お、嬉しいぞ。『donburi』のあとに声がおかしくなって、喉を手術したんです。そしたら声が変わって。それがいいと言う人もいるし、勿論前のほうがいいと言う人もいるし、私も前のちょっとかすれたような声が自分でも好きで、一時期は"手術前に録音しているもののほうがいい"と固執してて。手術後に"また壊れたら嫌だな"と思ってビビりながら歌ってたのもあって、しばらくは全然歌が良くなくて。でも声がおかしくないぶん伸びもいいことがわかって、録音したものも歌いなおしたんですよね。CDだと声が変わったことが明確になるので、気持ちを切り替えるまでに2ヶ月くらいかかったけど、自分が気にしているほど他の人は感じないのかもしれないな......とおおらかな気持ちにもなって(笑)。だからそう言ってもらえて嬉しいです。
-確かに前のほうがパワフルかもしれないけれど、綺麗な声が出るぶん、まきさんの精神性がはっきり出るようになっていると思います。
岸川:ああ、良かった。手術できたこともありがたいと思います。実際声が出ない状況でも、そのときは"できる"と思っちゃうんですよね。"もう声が出なくなってもいい、私は歌いつづける"なんてパンクっぽいことを思って(笑)、美徳を感じていたんですけど、村越君が"あなた一生歌えなくなってもいいの?"と言ってくれて......本当に感謝しています。
-これはいい意味でなんですけど、toitoitoiはどんどんジャンルがわからなくなっていきますね(笑)。
岸川:ハミ出しすぎちゃったかな(笑)。
村越:好きなことやってたらこうなった、という感じで(笑)。
岸川:でもそういうジャンルとか気にしないで聴いてもらいたいですね。
-本当にそう思います。そして、toitoitoiは今年に入ってから、オフィシャルYouTubeにアルバム・リリースを記念して週に1回カバー曲をアップしていらっしゃいますね。それもCoccoさんや薬師丸ひろ子さん、井上陽水さんや、黒うさPさんの「千本桜」など、いろんな時代のいろんなジャンルの曲のカバーに挑戦していて。
村越:リリース記念に始めたんですけど、あれは結構面白くて。お客さんや友達からも好評なんです。「千本桜」も"やってみたら?"と提案を受けたのでやってみて。
岸川:みんなが知っている曲をやることは今までほとんどなかったし、単純に"いい曲だなあ"と思う(笑)。でもカバー曲をやるのは聴く人の思い出に踏み込むことだから、別物と見てもらえるくらいのクオリティが作れたらいいなと思って、男の人の曲や、まさかこれを選ぶか!と思うものまで選曲しました。ちゃんとエンターテインメントにしたいなと思ってやっています。楽しいです。
-今後の活動の野望はありますか?
岸川:もっと野外とか、ライヴハウス以外のところでライヴしたいですね。ふたりで視覚的な部分を主張するやり方も取っているので、広い空間の中でどれだけふたりで魅せることができるかなというのを試したい。ふたりだからできること――まだレベルは低いかもしれないけど、私たちはどこでもライヴができるし、そこの空気に順応してどうライヴをするかも、ふたりだからちゃんと実行できるんです。私がその場の空気に合わせて突拍子もないことをしたとしても、村越君は適応できるし。それをライヴハウスじゃない場所でやるのはすごく面白いんです。それを観ている人たちも面白がってくれるし。それをたくさんやりたいですね。
-今までもアートとコラボレーションをしてライヴをしたり、野外でライヴをすることは多かったですし、今まで積み上げてきたことをおふたりで広げる、ということですね。
岸川:そうですね。やっと広げられる時期になってきたと思います。絵描きさんとのコラボレーションも、どこまでやれるか突き詰めていきたいし。舞台組んでやりたいし、野外でもやりたいし......今回のリリースに合わせたインストア・ライヴ・ツアーも一見さんの前で演奏する新しい挑戦だし。最初のころは"ふたりだからできない"と思っていたことが多かったんですけど、最近やっと"ふたりじゃないとできないことがある"と思えるようになれたので。やりたいことはたくさんありますね。
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