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INTERVIEW

Overseas

FEEDER

2012年11月号掲載

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Member:Taka Hirose (Ba)

Interviewer:沖 さやこ


-日本での活動とUKでの活動は心持ちが変わりますか?

やっぱり違いますね。なんだかんだ向こうの生活と活動が長いし、向こうのほうが活動のホームグラウンドって感じはしますけど。でも日本はやっぱりね。Grantは日本大好きだし、かみさんが日本人っていうのもあって彼にとっても思い出があるし、もちろん俺に思い入れがあるから、日本は特別な場所ですよね。

-日本とUK、両方のシーンをご存知のTakaさんから見て、日本のロック・シーンはいかがでしょうか?

日本のロック・シーンはメインストリームのものがあって、もう少しオルタナティヴなものがあって、インディーズやアンダーグラウンドなものもあって……どこ見てもUKに比べてヘルシーだと思いますよ。リスナーがちゃんといるっていうか。向こうでアンダーグラウンドだと本っ当にアンダーグラウンドだから(笑)、そんなに人も集まんないんじゃないかな。……というか向こうはちょっとつまんないくらいっすよ。MUSEやCOLDPLAYみたいなメインストリームのロックがあって、その下はごちゃごちゃですね。ごちゃごちゃならそれはそれでいいんですけど、向こうはアンダーグラウンドな世界がありそうで全然ないんです。ちょっとそれは日本に比べると寂しいなと思うんですけどね。

-“UKロックに勢いがない”とは近年言われ続けてますが、とは言っても昔が凄すぎただけじゃないかなと思ってた部分もあったんで、お話聞いてびっくりしています。

多分日本から見たら、UKにアンダーグラウンドやインディーのシーンがあると思うかもしれないけど、実際はそんなにないですね。だから日本はバンドの数はアメリカとかよりも少ないかもしれないけど、そういうシーンがあることがいいことだと思いますね。それもあってMuddy Apesやりたいなと思ったんです。どうしてもFEEDERで日本に来てライヴをやると結構大掛かりになっちゃって。とか言いながらMuddy Apesもなんだかんだ大掛かりになってるんですけど(笑)。

-(笑)。Muddy ApesはFEEDERの活動の合間に行っているのですか?

そうですね。ただスケジュールを合わせるのが大変ですね。INORANが超忙しい人だし、俺もFEEDERの合間を見て動いて。MAESONも8ottoがあるし。スケジュール調整が一番大変ですよね。せっかくみんないろんなところから集まってくるからツアーとかやりたいんですけど、なかなか難しくて。もう少し小回りきくようになりたいなってINORANとも話してるんですけどね。

-Muddy Apesの結成はどういう流れだったのでしょうか。

ミュージシャン同士で集まって酒飲んでると“なんか一緒にやろうぜ”って話になるじゃないですか。数年前くらいにINORANとそういう話になって、でもなかなか実現しなくて。リフのアイディアを送ったりはしてたんですけど、それ以降全然話がなくて。で、ふとしたときにINORANが“そういやリフ送ってくれてたよね、何か曲やらない?”って、それで出来たのが、去年彼がシングルで出した「Hide and Seek」なんです。その流れで“そのまま一緒になんかやろうぜ”って。俺がベース弾くだけだとINORANのソロと変わんないから、じゃあ他にヴォーカルを立てて、俺たちは後ろに回ってちょっとリラックスして、曲とかプロデュースのほうに回ろうかと。それで友達の紹介で大阪のMAESONと会って。それをくっつけたって感じですね。

-やりたいねって話が出るのはよくあると思うんですけど、それを実際にちゃんと形になるっていうのは凄いですね。皆さんお忙しいですし。

そうですね。だから、Muddy Apesのアルバムが出来たとき感動しました(笑)。よくやったなぁって。こんだけスケジュール合わすの大変で、アートワークとかも自分たちでオーガナイズしてやって。レコーディングも2週間しかなくて、全員が集まったのは10日くらいですかね。それで8曲全部レコーディングして、ビデオとかも3本撮って、写真とかも撮ったりして。楽しんではやってましたけど凄かったですね。本当にみんな“この短期間でよく完成したなぁ”って(笑)。

-(笑)。国境を飛び越えたプロジェクトですから、本当にそうですよね。さて、先程日本のロック・シーンの良い点とUKのロック・シーンのあまり良くない点を比較して頂きましたが、逆はどうでしょう?

UKのバンドのいいところは、形になってないまま音を出すから、ある意味キャラクターがあるんですよね。日本のバンドって形にしてから出そうっていうところがあるから、演奏とかうまいんだけど“下手でもいいじゃん、音楽やろうぜ!”みたいな風にはならないじゃないですか。だからそこでキャラクターや個性を削られてるのかなっていうのはありますね。アンダーグラウンドではそんなの関係なしに自由にやってるバンドもあるのかもしれないけど、そういうのがUKは普通にインディーで出来てるし、そのまま大きくなっていくバンドもあるし。そういうバンドはあんまり日本にはいないですよね。

-日本の場合はレーベルさんやマネージメントさんなど様々な人々が、イメージや音などを“こうしたほうがいい”って言うことも多いみたいですからね。

日本のバンドがレコーディングするときって、プロデューサーがいないことが多いじゃないですか。レコード会社の人が総合プロデュースみたいな形になる場合が多いから、それがあってある意味レーベルが希望してるように作るパターンもあるかもしれないですね。UKはどのバンドもちゃんと、バンドの個性をより良く引き立てるプロデューサーがついてますからね。だからレコード会社の人とケンカする、ってこともよくありますよ(笑)。だから日本のバンドもちゃんとプロデューサーをつければいいのに。そのほうが、個性のあるバンドが出来ると思いますね。俺がプロデュースしたいくらいですよ。

-それは面白そうです、実現することを望みます。それでは最後に、結成20年、Takaさんが加入して18年、デビュー16年を迎えたFEEDERは、この先どうなっていくのでしょうか。

どうなっていくんですかね……。UKの音楽業界ズタズタですからね。CD屋もHMVくらいしかなくて、あとはスーパー・マーケットですから。日本なんて減ったっていいながら、まだガンガンあるじゃないですか。

-CD不況と言われる日本も、全世界の中ではかなりCDが売れている国ですからね。

そうですね、なんだかんだ。昔は軽くミリオン・セラーなんてしょっちゅうだったけど、アメリカでさえ“これがアメリカ全土の売り上げ?”って信じられない数字ですから。UKも“生き残るのが成功である”というくらいですから。メインストリームまで行ってるようなでっかいバンドはいいかもしれないけど、俺たちと同じレベルくらいのMANIC STREET PREACHERSとかSTEREOPHONICSでも、ラクじゃないと思いますよ。こんなにメジャーが合併してるくらいですからね。どうなるんだろうかって。俺たちも、この2枚は自主でやりましたけど、次どうするかなって考えてはいますよね。もちろんレコーディングはしていくけど、どういう展開をしていくかはまだはっきり決まってないです。取り敢えず来月のFEEDERのツアーを終えてから、またいろいろと考えていきたいと思ってます。