Overseas
BROKEN SOCIAL SCENE
Member:Brendan Canning(Ba&Vo)
Interviewer:伊藤 洋輔
-なんとも豪華な布陣ですね。そしてプロデューサーにJohn McEntireを起用したのは今作の大きなトピックですが――。
そう!それにJohnは演奏もしてくれたんだよ。彼がドラムを叩いている曲がいくつかあるんだ。あとキーボードもあちこちで。
-そうなんですね。彼と組んだ経緯、そして感想を聞かせてください。
それは、バンドの全員が、まあ完全に全員とは言えないけど(笑)、ほとんどのメンバーが、TORTOISEとSHE AND CAKEのサウンドが大好きで、最初にアイデアを出したのはKevinだったんだ。すごく一緒にやりたがっていてね、それはいいアイデアだってことで意見が一致したんだ。2008年の10月に1日だけJohnと一緒にやってみて、本格的なスタジオ入りにしたらどうなるかを試してみたんだけど、その場にいた全員がそれをすごく気に入ったから。
-うんうん。
それから、僕達みたいなバンドにとっては慣れきった居心地のいい場所から外に出るのは大きなことで、つまり今回シカゴまで行ったこともこのアルバムにとってかなり重要な要素になったと思う。別の街で8ヶ月間過ごしたっていう経験がね。で、うん、Johnとスタジオ入りした感想を言うと……いい関係を築いていけたのが嬉しかった。バンドがプロデューサーと一緒にアルバムを作るときは、お互いのことをよく知らないといけないから。僕達のバンドはいくつものパートを重ねたり、逆に取り除くためにも、何度も構築と解体を繰り返すことになるわけで、そんな音楽だからこそ、その全体監督をする人が必要なんだ。で、Johnはそのためにそこにいてくれたっていう。Johnはプロデューサーとして、そしてエンジニアとしてもいい仕事をしてくれたと思ってる。
-わかりました。タイトルの『Forgiveness Rock Record』とは印象的で、あらゆる解釈を示唆したメタファーに感じますが、ズバリ意図するものとは何でしょうか?
そうだな……そのタイトルは、ユーモアのセンスを持って解釈されるべきだとも思うけど、僕にとっての意味というと……それはごくシンプルな人間の感情で、つまり、お互いを許しあおうっていうこと。それは秘密でもなんでもなくて、人生におけるごく単純な事実であって、言ってみれば、そのフレーズを宇宙に放つことによって、もしかしたら何かポジティヴなエネルギーみたいなものを生み出せるのかもしれないよね。そしてそれは究極的に、僕達がこの音楽でやろうとしていることでもあるんだから。
-あなた達は前作『BROKEN SOCIAL SCENE』を、「世界に充満する恐怖について」のアルバムと評していましたが、今作のテーマは何でしょうか?個人的な見解やアルバムに込めた個々のキーワードでもいいので教えてください。
それは……そうだな……このアルバムは、BSSにとっての新しいチャプターだと思う。曲で歌っているのは、死や、死んでいくことについて、そして希望、トライしてみること……愛、そして許し、つまり人間が感じるあらゆることについてであって……特に、今こんな時代にバンドをやっていて、僕達の周りで起きている破壊を目の当たりにする中で、この中に微かな希望の兆しがあることを見せようとしているというか……つまり、問題から抜け出して、解決の一端を担おうと努力すること、それがこのアルバムで僕達がやろうとしたことだと思う。問題の解決に参加するんだっていう。
-なるほど。今作を聴いていくと、どこか壮大な音楽大百科事典を読み解いていくかのような楽しさを感じました。あらゆるジャンルを越境しながら、まさにBSS・カラーでまとめ上げる世界観は感服の至りですが、大勢のアイデアが関わるので選曲や曲構成などの作業は苦労したのではないでしょうか?
ああ、BSSのアルバムを作るのは本当に長いプロセスなんだ。スタジオに入ってから、いや、曲を書いているところから考えると、そこからすべてをまとめるのには1年近くかかるもので、それだけの時間があると、様々なアイデアが浮かんできたり、多方面から影響を取り入れたりして、いろんな実験ができる機会を与えられるわけで。最終的にどの曲をアルバムに入れるかを話し合うときは……これはよくあることで仕方がないんだけど、とにかくいろんな曲をどんどん出してきて、長いプロセスになるものなんだよね。「これはうまく合うんじゃない?」「どうだろう、そうかもしれないけど違うかも」とか、そんな感じで、そうこうしているうちに、アルバム自ら決めていく感じになるというか、すべてがうまく収まっていく。で、もし何かが足りないと感じたら、誰かが必ずそれを埋めてくれるんだよ。それがプロダクションや曲作りにおいて大勢が関わっているメリットでもあるんだけど。
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