Overseas
LCD SOUNDSYSTEM
2010年05月号掲載
Member:James Muphy
Interviewer:杉浦 薫
-1曲目の「Dance Yourself Clean」からしてですが、歌唱法としても、ハイトーンが駆使されていたり、単純に歌うのが難しそうな曲が多いですよね。
ああ、その通りさ。正直、凄く難しい。かなり高い声で歌わないといけないから、レコーディング中も喉に必要以上に負担がかかって、声が出なくなって しまったこともあったっけ・・・。
-次に感じたのは、サウンドの生々しさでした。LCDのサウンドは、元々生っぽさが重視されていますが、 そういう意味ではなく、音の物理的な質感としての生々しさです。まるでバンドが、スタジオで丸くなりながら、ライヴをしているような感覚で レコーディングをしているんじゃないか?というような印象を受けたのですが。
うーん、基本バンドというよりも俺自身全てのサウンドを作ったに近いから俺しかいない孤独な作業が多かったな。もちろん曲によっては Pat MahoneyやTyler PopeやAl Doyleなど手伝ってもらったり、サウンドもミックスされてはるけどね。
-そして全体を通して、とても"ロック"の触感を感じたんです。このアルバムを作る際、Jamesの中で"ロック"というサウンドがいかなるものかを、 再定義した中で出来たアルバムなのかな?と想像してしまったのですが、それについてはいかがでしょうか?特に「Drunk Girls」は、 アルバムの中で唯一4分以内の尺の、ロックな手触りのポップソングだと思うのですが。
ハハハ!そんなに大したことじゃないよ!別にロックを再定義しようと思ってもないし。ただいつも、どちらかというとシリアスな曲が先に出来てしまうんだ。 だからいつも最終段階で、馬鹿げた曲を必ず作ろうってなるんだけど、それが今回は「Drunk Girls」だっただけさ。ハッピーな曲だろ?『This Is Happening』で一番最後に出来た曲さ。
-「All I Want」のフレーズはとても動きが あって、たまにキーボードの奏でている音が、主音となるコードとぶつかったりしていますよね。そのぶつかり方がまた絶妙で。 このフレーズを付ける際、かなり試行錯誤したのではないですか?
実はそのフレーズ、1回しかプレイしてないんだ。 具体的にこういうものが作りたいというアイデアはなかったんだけど、このフレーズが凄く気に入ったから、この音を思いっきりクランクアップして、それに合わせてプレイしてみたら、最終的にこういう曲に仕上がったんだ。
-「I Can Change」は、まるで空を見上げながら、何かを祈っているような曲だなと感じました。この曲は、どのようなことが歌われている のですか?"Never Change""I Can Change"という歌詞が印象的なのですが。
いつも曲のテーマについて聞かれて本当に困るんだけど、他のものやテーマについて歌っているわけではなくて、その曲自体が主役というか 。そこに全てが表現されているんだ。「I Can Change」は、俺が13歳の頃に感じていた様々なモノに対する絶望感について表現しているとでも言っておこうか。
-「Somebody's Calling Me 」は、エレクトリック・ブルージーなナンバーですが、この曲はどのような経緯で出来た曲なのでしょうか?
多くの人達と作業をしていると、たまに凄くストレスを感じることがあるんだけど、ある時なかなか寝付けなくて、睡眠薬を飲んで眠りについた 事があったんだけど・・・夜中急に起きて、部屋にあった楽器を無造作にプレイしてレコーディングしたんだ。それで少し時間が経ってから思い出して、それらのパーツを聞き直したら思いの他良くて。結局曲として仕上げたんだ。
-歌詞の面においては、何かご自身で今までとの変化を感じますか?まだ訳詞が届いていない状態なのですが、全体的に内省的とも 言える曲が多いですし、歌に重点が置かれていることもあり、今までよりも更に、言葉に深みと重みを感じるのですが。
どうだろう?その辺は俺もまだ分かっていないっていうのが正直な答えかな。このアルバムの「深み」みたいなのは、もうちょっと時間が 経ってからわかると思っている。過去の作品を作った時に比べて、年もとってるしね。
-『This Is Happening』中で、完成に至るまでに特に苦労した曲はありますか?
特に苦労した曲はなかったけど、色々なことが重なって、LCDのアルバムに集中するのが大変だった。 DJもしてたし、サウンドトラックも別に作ってたし、DFAのバンドをいろいろとプロデュースしてたし。
-これから始まるツアーでは、『This Is Happening』の曲が中心のセットリストになってくるのでしょうか?
もちろんさ。少しづつ新作からプレイしていくつもりだよ。
-Jamesの今後の動向について教えてください。
これが LCDの最後のアルバムになるから、今後は更にプロデューサーの仕事や、執筆業や、ホリデーに時間を費やしたい限りだよ。
-今、Jamesが個人的に特に気に入っているバンドがあったら教えてください。
DFAでプロデュースしたFREE ENERGYは注目だね。ダンサブルで爽快なロック・バンドだよ。
-最近のNYのクラブシーンはどのような状態なのでしょう?特に面白いと感じるクラブ やパーティーがあったら、是非教えてください。
全くといっていい程ないと思う。最近あまり出掛けないからかもしれないけど、今どういうことが起こっていて、何が面白いのかも、全く検討がつかない。俺は俺で仕事ばっかりしてるからね。でももうじきまたツアーに出るから、その時に新しい発見があると信じてるよ。いつもツアーで新しいものとか、面白いものを発掘しているようなものだから。
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